第109話 悪魔

話しかけてきた声に「誰?」とサラが返事して周りを見ても、ハリーとリリーは何をしているの?という感じであった。


『我はその短剣の悪魔だよ。思念会話だから2人には聞こえていないよ』

と返事がする。

ハリーたちに状況を説明し、盗賊の残り2人が別部屋にそれぞれいるから3人集めるように相談する。

その間に、サラが短剣と話すことにした。


「ようやくって、何?」

というサラの問いに、

『やっと人の魂を捧げたな、ということだよ。魔物の血や魔石はたくさん貰ったが、なかなか人を捧げてくれなかったからな』

という話を聞いている間に、ハリーたちが、サラの部屋の盗賊が事切れていたことを伝えてくる。

『ということだよ。そいつの魂を貰ったんだよ』

「あげる気なんて無かったけど」

『そんなことは知らん。それよりも我と契約しろ。我の名はストラデル』

と魔導書が床に落ちる。

水精霊シルビーと同じ流れであり、魔導書にある≪契約≫contractus(コントラクトス)の魔術語を確認、真名Stradel(ストラデル)と合わせて唱えて≪契約≫する。


『これからも血や魔石を捧げろよ。特に人間の魂が良いのだがな』

「まぁ、ボチボチね」

『ふん、まぁ良い。魔導書で訓練して、はやく我を召喚できるようになれ。それと、我が置かれていた祭壇に向かえ。そなたの母親が我を見つけた場所だ』

「何のこと?」

『行けば分かる』


ストラデルとの会話もいったん終わり、短剣の悪魔と契約したことをハリーとリリーに話す。詳細は別途だが、まずは盗賊たちの処理が必要である。

ハリーが衛兵たちを呼びに行くことにする。待つ間に、サラとリリーは家の片づけをする。

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