第108話 盗賊

先輩たちを見送り、宿から持ち込んだ荷物を3人それぞれの部屋に分かれて片付ける。そう、借家になり部屋数が増えたことにより3人それぞれ個室になるのであった。


ハリーが早速、料理道具を増やして色々な食材を買い込んで、記念の豪華な夕食にした。

風呂場まであり、本来は井戸から水を汲み薪で焚くところを、サラが魔法でお湯をはり、サラ、リリー、ハリーの順に湯あみまで行った。



サラは、新しい家で少し寝付けずにいたところ、変な気配を察知する。家に何かが入ってくる気配がするが、ハリーもリリーも別の部屋であり直ぐには行けない。

「盗賊?」と思い、あまり騒がれると2人も守れなく、下手な魔法を使うと家が燃えてしまうと悩む。いつもの魔剣である短剣だけを手に、静かに自室の扉の内側で待ち構える。そして扉を開け入ってきた盗賊の首を狙って武技≪刺突≫を突き出す。狙い違わず、崩れ落ちる。まだ生きているようだが、音が立たないように、手足と口を縛る。


まだ残る気配を探しにリリーの部屋にも忍び足で向かうが、リリーも既に撃退済みであった。

リリーとともにハリーの部屋に行くと、ハリーが盗賊と向き合っているところであった。


「あんた誰よ?」

というリリーの問いに

「見ての通りだよ。市場でにいちゃんが羽振りよさそうだったから、つけて来たんだよ。若いお前たちがだいぶ稼いでいるらしいな。俺たちが貰ってやるよ」

「何バカなことを言っているのよ」

「おい、アイン、ツヴァイ、こっちに来い!」

と大声で、通称?を呼ぶ盗賊。

「誰を呼んでいるのよ?2人は来ないわよ」

「何!?」

どうも3人のようであるし、残り1人であるので気にせず、≪水針≫で目を狙い無力化してから縛り上げる。


リーダーらしき盗賊を縛っているときに、サラにはどこからともなく

『ようやくだな』

という声が聞こえる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る