第85話 高級魔法回復薬

サラは複合魔法の習得方法だけでなく、魔法回復薬の高級レベルをつくれるための違いをエミリーに聞く。


調合の手順は、洗浄、乾燥、粉砕、分離、溶解、励起である。サラは≪水生成≫で生み出した純水に溶解し、回復を促す要素へ励起することはできるようになった。これで中級レベルは作れている。エミリーは特級レベルも作れるが需要を踏まえて、通常はサラと同じく溶解と励起のみ魔法を使用して高級レベルを作り出している。

エミリーは経験もあり、溶解や励起においてもバラツキがなく均等に操作ができるため高級レベルになるのであった。サラも最初は均等な励起ができずに初級レベルであったが、習熟により中級レベルをつくれるようになった。


高級レベルにするには、各工程において不純物の混入を減らしたり、溶解された回復要素を漏れなく励起したりすることが必要になる。エミリーほどの経験もない現段階では、他の工程も魔法を使う方が簡単かもしれない。

水魔法≪洗浄≫、火と風の複合魔法≪乾燥≫などである。


まずは他での使用用途も豊富な水魔法≪洗浄≫「baptismata(バプティスマータ)」を、エミリーに教わり習得することにした。最近では水魔術を習得すると、それに合わせて水精霊魔法も同時に習得するのは苦では無くなり、≪氷刃≫や≪洗浄≫を水精霊魔法でも習得できた。





サラが魔法の訓練中、ハリーとリリーもそれぞれ成長の方向性を相談するために冒険者ギルドに向かう。その際、口さがない先輩冒険者から

「有名魔法使いのすねかじり魔法使いにさらに寄生している兄妹」

と揶揄される。

「サラは記憶力などの地頭が良い上に努力している!サラを馬鹿にするな!」

とサラのことは怒りつつ、自分たちの成長が他人より速い、効率的であるのは、冒険に有用な魔法や魔法回復薬など数千人に1人レベルのサラのお陰だと他人に見られていると再認識し、発奮するのであった。

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