第36話 泉


都合二十数匹の蝙蝠をしとめている合間に、2度の水蛇との戦闘もあったが、こちらは1匹ずつの遭遇であり無傷で勝利できた。



そうこうしていると、洞窟の最奥と思われる泉に到着した。

戦闘をこなしながら進んできた3人であり、清らかな泉とその周りの開けた空間は非常に落ち着く感じであった。

魔物などの気配もなく、背負子などの荷物をおろした上で、交代で休憩することにした。


洞窟途中の水は摂取することに不安があったため、サラの≪水生成≫による水で喉を潤してきたが、この泉の水は不安を感じさせないこととヒンヤリしていたこともあり、3人とも少しずつ飲み休憩を満喫するのであった。

泉は透明で浅く魚も居ないため、冷静に考えると毒などの悪影響を懸念すべきだったが、なぜかその思いに至らなかった。

もしかすると、泉の最奥にあった祠のせいかもしれない。


三人はそろって祠の前に並び、今日の無事の感謝と今後の成長を祈願するのであった。

サラだけ何か魔力的な気配を感じ

「何か感じた?」

と聞くも、他の二人からは

「いいえ何も」

「えー、幽霊か何かいたのか?」

というので、気のせいと考えることにした。


あまり長居をすると離れられなくなりそうで、適当なところで切り上げて戻ることにした。最後に、サラは泉の周りに密集していたヒカリゴケを採取して出発した。


洞窟は単純な構造であったため、サラは作成した地図で確認する必要もなく、出口まで向かうことができた。往路で魔物は片づけていたため、復路では戦闘もなかった。出口に近づくと、先ほど逃げ出していた魔物ではなさそうな蝙蝠がまた戻ってきていたが、3人が近づくと再度逃げ出していった。



領都まで無事に帰った3人は、本日の成果として水蛇3匹、蝙蝠24匹を3等分した。

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