第35話 蝙蝠


さらに洞窟を進む中で、分岐があってもある程度で行き止まりになり、道に迷うことなく奥に進む。


少し開けたところがあり、休憩して昼食を取ることにした。

気を抜いたハリーが干し肉を食べながら

「ここまで水蛇が一匹だけだし、楽勝だね」

と軽口をたたき、リリーが

「初めての場所で油断すると危ないわよ」

とたしなめる、いつものやり取りが行われる。

食事が終わるまで何事も起こらず、あらためて探索を開始する。


しばらく進むと少し天井が高い場所になり、3匹の蝙蝠がぶら下がっている。

リリーの矢とサラの≪水刃≫で先制攻撃をし、1匹減らしたところで2匹が迫ってくる。ハリーの挑発で盾に向けさせた後の片手剣、リリーの持ち替えた槍、サラの短剣で攻撃をするも、標的が小さいことと飛ぶことによる三次元移動での回避に戸惑い、しとめきるのに手間取ってしまった。

3匹とも倒しきったときには、盾で守られていないハリーの右腕、近寄らなかった松明の左腕ではなく短剣を振っていたサラの右腕がそれなりの傷を負っていた。リリーは槍が中心であり距離があったため負傷は無かった。サラがハリーと自分に≪治癒≫をかけ回復している間に、リリーは倒した3匹を回収してきた。

1匹の胸を割くと魔石があり、やはり魔物の蝙蝠であったことを確認できた。


それからは少し進むごとに、数匹の蝙蝠との戦闘を繰り返すことになったが、小さいことや三次元移動に対しても慣れてきた。

ただし、4匹以上になると先制攻撃で減らしきることもできず、ハリーの挑発でも集めきれずに、後列であるリリーにも蝙蝠の攻撃が分散されることもあった。

リリーへの回復魔法による魔力の波長合わせの機会もでき、少しずつハリーやリリーへの≪治癒≫の効果も向上するのと合わせて、3人それぞれの武器やサラの≪水刃≫の習熟も進むことになった。



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