第37話 森


洞窟の蝙蝠討伐を含めた探索を無事に終えたサラ達3人は、次は森のはぐれ狼に挑戦することにする。

以前調べたように、領都から日帰りの範囲で自分たちの実力で対応可能な魔物であり、まだ挑戦したことがない相手である。ただ、今までの相手に比べて遭遇率が低そうではあるが、一度試すことにした。


前回の洞窟と違い松明の準備は不要であるが、森の探索と言うことで山刀を購入し、ハリーが持つことにした。

二人が横に並ぶほどの道はほぼ無いため、ハリー、サラ、リリーの順に並び、ハリーが左手に盾、右手に山刀を持ち、どうしても邪魔な草木だけ山刀で切り開きながら進むことにし、リリーは槍を持つと考えた。

となると、サラは洞窟で松明を持っていた左手が空くことになる。今まではあまり気にしていなかったが、一度は両手を経験したこともあり、左手に何かを考える。とはいってもそれほど筋力があるわけでもないので、結果として左手にも軽い短剣を持つことにして、準備期間に左での短剣も最低限操作できるように練習しておいた。



いざ出発し、狼が居るという森に入ると、3人が出会った頃に出入りしていた湖畔やその周りの森と違い、昼間でもかなり暗いぐらいうっそうとした森であった。

そのため木々の下草はあまり茂っておらず、それほど山刀の登場機会は無かった。


サラの気配察知でたまに感じるのは通常の兎や野鳥であり、なかなか魔物に遭遇しない。

それでも奥に進んでいると、ようやく目当てと思われる狼を察知した。


さっそくハリーは右手を片手剣に換え、リリーは槍から弓矢に持ち換える。いつものようにリリーの矢≪穿孔≫とサラの≪水刃≫の遠隔攻撃で先制する。

狼の接近速度は速く2度目の遠隔攻撃をする間もなく近接され、ハリーが≪挑発≫をすることで誘導する。以降はリリーが弓矢を槍に変えて、ハリーの盾を中心にした3対1の安定した攻撃を続けられた。狼は確かに素早く攻撃力が脅威であるが、蝙蝠での小ささ及び三次元移動に対する訓練した3人には、体が大きいだけ攻撃を当てやすい的であった。

そのまま安定して、3人それぞれのショートソード、短剣2本、ショートスピアの攻撃を当て続けてしとめることができた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る