第26話 回復魔法


翌日、早速エミリーはサラに回復魔法の指導を始める。


「私の回復魔法は初級レベルだから、基礎だけしか教えられないからね」

と前置きをする。


「回復魔法は他の水魔法などと一番違うのは、他人の体の中で魔力を操作するということなの。だから相手の魔力と反発しないように波長を捉えることが最初に必要なことになるの」

と言い、

「何事も実例が良いわよね。ちょっとごめんね」

とサラの左腕に小さな傷をつける。そこに対して

≪治癒≫

と唱えて、傷を治す。

「今、腕の中に私の魔力が動いたのがわかる?今度はわざと波長を合わさないようにするわね」

と、小さな傷を再度つけて、腕に魔力をかける。

サラの腕の中で何かがモゾモゾ反発する感覚はあるが傷は治らない。

「だから、自分の傷を治すのより他人の傷を治すのは難しいの。まずは自分で傷を治す練習をしてね」

と、エミリーは2度目の傷を治さずに、サラに自分で練習をさせることにした。

また、≪治癒≫は「sanatio(サナーティオ)」であると魔術語も教えておく。


いつものように右手から魔力を出すイメージで、左腕の傷にかざして

≪治癒≫

と唱えることを繰り返す。

一度目は皮膚の付近がモゾモゾするだけであったが、二度目から少しずつ傷口が小さくなり五度目で綺麗に治った。


次は、エミリー自身の腕に小さな傷をつけてサラに≪治癒≫させてみるが、魔力の波長を合わせるのに苦労し、五度目で少し傷口が小さくなるぐらいであった。

こちらは少し根気よく繰り返し練習させることにする。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る