第14話 攻撃魔法


サラが良い気持ちで寝付くころ、エミリーは悩んでいた。


サラの母とは旧友であり、彼女の死後に魔法の素養がありそうなサラを預かって育ててきた。魔法回復薬を作成できるようになると生活も安定して自立ができるため、魔女になりたいというサラの希望もかなえつつ、自分の得意分野を教えることでありその方向で考えてきた。

ただ困ったことに、この方向では火傷痕コンプレックスのサラが会話すべき相手は限られ、人付き合いを避けることが出来続けてしまう。実際、ほぼ単語だけの発言で生活を行っている。


それが今日、サラは良い交友関係を得たようであった。もちろんサラの表情にそれほど変化があったわけではないが、夕食時に聞いているその日の出来事のときに、エミリーには気づけた。

ぜひその友人たちと交流を深めて欲しい。二人とも今は見習い剣士と見習い弓士だが、冒険者としての成長を望んでいるようである。サラと一緒に行動してもらうためには、サラが冒険に役立つ魔女と認められたら良いのではないか。


そうだ、今は≪水生成≫ぐらいしかできないが、攻撃魔法もしくは回復魔法が使えるようになると、一緒に行動して貰えるのではないか。

昨夜に水蛇の話を聞いたとき、何らかの攻撃魔法をそろそろ教えなくては、と思ったではないか。


ただ、≪水生成≫も駆け出しのサラに、初級水魔法の≪水球≫や≪水刃≫はまだ難しい。これらは目の前で生成するだけでなく、勢いをつけて敵に向かわせる必要がある。さらに≪水刃≫は殺傷能力があるほど鋭く硬くする調整も必要になる。

まずは生成した水を移動させることを練習させることにしよう。明日から始めよう。


気持ちの整理ができたエミリーは、サラから少し遅れながら、微笑みながら寝付くのだった。



もちろん、翌朝からサラの訓練に、生成した水を移動させることが追加となった。


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