第7話 調合


翌日、サラとエミリーは調合の作業室にいた。


「サラ、おさらいね。調合の手順は?」

「洗浄、乾燥、粉砕、分離、溶解、励起」

ぶっきらぼうな回答ではあるが、エミリーは気にせず話を続ける。

「そうね。では重要なことは?」

「不純物の排除」

「そう。魔法を使うことによりそれを実現するの」


魔法を使わない調合では、素材を水洗いし、乾燥させ、粉々にし、水に溶かすことで、回復薬が出来上がる。ただし、素材や器具の洗浄の水や溶解する水に不純物が混ざるほど低品質になるため、蒸留水を別途作成して使用することになる。さらに素材となる葉のうちでも、不必要な要素が出る茎などはナイフで削除してから処理するのだが、当然すべてを切り取れない。

一方、魔法を適切に使用できると、不純物が混ざらない空間を作り出し、短時間で乾燥させることができ、蒸留水以上の純水を作り出し、不要部位を容易に分離でき、溶解できる上に、回復を促す要素を魔力で励起させることで効力を向上させることができる。


「私は、水魔法以外はあまり得意でないから一部だけね」

と言いつつ、昨夜に乾燥させていた傷回復用の葉から不要な茎付近をナイフで削除してから、薬研(やげん)で粉末化し、篩(ふるい)にかける。そして魔法で生み出した純水に溶かして、最後に魔力を込めて励起させることで完成させた。

同様に、昨夜に乾燥させていた魔力回復用の根も、不要な髭や皮をナイフで除外してから、薬研・篩・溶解・励起させて完成させた。


回復薬は、効力により低級・中級・高級・特級・神級に分類される。

魔法を使用しない調合の場合、低級や中級までがほとんどであり、高級を作成できる者は限られる。例えば傷回復の神級は失った四肢まで回復できるが、存在は伝説レベルである。励起された回復薬は魔法回復薬とも呼ばれ、効果がすぐに反映される。

励起すればほぼ中級以上にできるが、魔法を使えるのが1,000人に1人の世界であり、エミリーの作成する効果がすぐ出る高級回復薬はいつも人気である。


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