第6話 魔女エミリー


サラがボソッと

「ただいま」

と言うと、店舗の奥から

「おかえり」

と師匠のエミリーが出てきた。黒ローブを着た、長い金髪の美人である。


サラは黙々と、指示されていた薬草を取り出してテーブルの上に並べる。

エミリーは

「うん。お願いしていた通りの、傷回復用と魔力回復用。上手に採取できているね」

と褒めるが、サラは表情を変えずに、水蛇の魔石と牙もテーブルに乗せる。

「あら、水蛇?どうしたの?」

「湖畔で襲われた」

とだけ返事。エミリーは苦笑いをし、

「わかったわ。明日は、薬草の処理と合わせて、触媒作成もしましょうね」

といい、薬草を洗浄してから乾燥棚に並べる。


「夕食にしましょう」

とサラを食堂に誘う。


エミリーはサラと夕食を取りながら、水蛇をしとめた経緯をポツポツと何とか聞き出し、呆れたのであった。



サラは夕食後、自室に戻り本日の外出の片づけを始めた。毛皮のローブやブーツのゴミを落として手入れ。

採取ナイフと短剣、特に蛇を何度も切りつけた短剣は丁寧に研ぎを行いながら、

「今日は蛇程度で苦労したし、魔物を倒すには、短剣では難しいのか」

と考えていた。


ナイフは片刃の小さな刃物で主に切るもの、短剣も同じく小さな刃物であるが両刃で主に刺すものである。背中に背負うような大剣、腰に下げる両手剣や片手剣など色々あるが、非力なサラでは片手剣を両手で振るうのが精一杯であり、答えは出ない自問であった。

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