第4話 冒険者ギルド

冒険者ギルドは基本的には誰でも登録できるが、依頼達成などのギルドへの貢献が一定期間無い場合は登録が抹消される。これは生存確認も兼ねていて、死亡者をいつまでも登録管理しないためでもある。

魔物駆除、護衛などの戦闘を主とするもの以外に、薬草採取や配達など様々な依頼・クエストが存在し、依頼人と冒険者の仲立ちをギルドが行う。魔物が存在するこの世界では、兵士だけでは駆除や住民保護が追い付かないため、通常の働き先がない荒くれ者や流れ者でも世に貢献できる仕組みでもある。そのため、初心者への育成や、能力を見極めての依頼の割り振りなどを行っている。国家や領主とは独立した機関ではあるが、為政者からの支援もあることから、為政者からの依頼を拒否できないこともある。

冒険者に対しても魔物と同様にランク分けを行い、同等ランクの魔物を単独で倒せると見なせる場合に、そのランクと認定する。すなわち、E・D・C・B・A・Sランクであり、それぞれの身分証明証の素材が木・鉄・銅・銀・金・ミスリルでもあることから、例えばDランク冒険者や鉄級冒険者と呼ぶ。銅級から一人前であり、この級で一生を終える者が多い。この認定は世界共通である。


サラはEランク・木級冒険者でもあるが、街の住民としての信用度は「魔女エミリーの見習い」の方が高いため、衛兵へは後者を使用している。


冒険者ギルドは、ほぼすべての街に存在するが、この領都は近隣地域をまとめる支部でもあり、出入りも多く建物も大きい。

まだ夕方になりきっていないため、当日の依頼報告の混雑はそこまででもないが、窓口には行列ができている。コンプレックスのためにあまり人と話したくないサラは、いつも混雑しない時間帯に決まった受付者の列に並ぶことにしている。この女性ギルド職員、若い美人ではないため、列が短いのである。

「サラちゃん、今日はどうしたの?」

いつも対応しているため、目深にかぶったフードのままでも名前を呼ばれる。

「買い取りを」

と無愛想に返事をし、魔石と牙を取り除いた蛇、見つけた珍しい華と、師匠の指示以上の薬草をカウンターに乗せた。

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