第3話 領都
採取した薬草以外に、仕留めた蛇を携えて街に向かうサラ。
この街は伯爵領の領都であり、生まれ育った辺境の村とは当然に規模が違う。
中心に城のような伯爵の館があり、同心円状にエリア分けがされている。館に一番近い一層エリアが貴族街、その外の二層エリアが裕福な市民の住宅街、その外の三層エリアが商店街や一般市民の住宅街である。サラの師匠の店舗兼住宅も、冒険者ギルドも三層エリアになる。
中心の館のみ丘の頂上のような作りであり、館からは各エリアを見下ろすことができる。
エリアの間は壁で区切られ、四方位それぞれに門扉があり衛兵がいる。三層の外側が領都全体の外壁ともなり、壁の上には兵士が通れる通路もあるぐらい一番頑丈で奥行きもある。
伯爵領には領都以外にも多くの街があり、隣国と接しているための防衛、魔物が多く生息する魔の森からの防衛等のためにさらに頑丈で高い外壁を有する街もあるが、この領都は比較的安全な地域にあるため、物々しさはあまりない。
サラが街に着いたのは夕方になる前であり、何とか混み出す前であった。
門をくぐる際に衛兵に、
「魔女エミリーの見習い、サラ」
と身分証明を見せてフードを外して名乗ることは、火傷痕のコンプレックスがあるサラにはいつも苦痛である。
さらに今日は、子供の身長なのに大きな蛇を首に巻いていたため、衛兵から
「それは何だ?」
と止められることになった。
「森でしとめた」
と、死んでいることも提示し説明することになった。
この世界、テイマーと呼ばれる魔物使いもおり、街に生きた魔物を連れて入ることもある。その際には、必ず従えた魔物である従魔の証を、基本は魔物の首につける必要があるのである。
サラが首に巻いた蛇は、尻尾側だけだと従魔か区別がつかないため、衛兵に確認させられたわけだが、フードを外して会話する時間が増えた分、苦痛も増すことになってしまった。
無事に街には入れたサラは、大通りにある冒険者ギルドに向かうことにする。
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