150



「ウアァァァアアァァァアアァ!!」



光の壁に封じ込められたルルアが唸り、壁を叩き、もがくが光の壁はびくともしない。



「っ…で?これからどうすんの!?」


「魔力を徐々に奪い去ります!…結界の維持を怠らないように、放出される魔力を結界から吸収…外部へ放出してください」


「…それ、かなり難しくない?そーとー神経使わない?」



フィルの質問にマイネが答え、フィルはげんなりした表情。



「なんじゃ?…出来ないのか?えるふぞく?」


「やってやるよ!クソジジイ!!」


「ほれほれ、結界の出力が弱まっとるぞ!気合い入れんか」


「わかってるよ!!」



悪態を付いて集中するフィル。そこへノノが近づいていく。



「ハリスさん…ルルアたんは…」


「心配するな、ワシらに任せておけ。じゃが少し時間が掛かる…その間ワシら三人は無防備になってしまう。警戒は任せたぞ」


「!…はい!」



ノノは結界の中で苦しむルルアを見つめ、不安を振り払うように頷いた。何が起こっているのか分からないが、ここはハリスさん達に任せるしかない。俺達に出来ることは…



「凄まじい猛攻だな…センターギルドのマスターともなると一筋縄ではいかないな」


「じゃあさっさと降参したらどうだい!?」



依然、カルラとシンは激しい攻防を繰り広げている。



「ならば…まずは無防備の敵から排除しよう」


「あぁっ!?」



急にシンは方向転換し、ルルアに集中しているハリスさんに急接近!

なっ!速すぎる!!…



「んな簡単に…抜かさないよ!【閃紅せんこう】!!」



カルラが目にも止まらぬ速さで突進!

その勢いのまま鋭い突きを放つ!!


赤く輝く槍による高速の一撃。

それはまさしく、紅い閃光のごとく…



「っ!」



金属音が響き、シンの行く手を阻むカルラ。



「速いな…赤槍。流石だ」


「しっかり防いどいてよく言うよ!」



再び睨み合うシンとカルラ。



「おい…手が足りない。力を貸せ」


「あ?…」



不意に、シンの横に姿を現した男。あれは!!…



「よろしいのですか?…せっかくいたというのに」


「構わん…そもそもこの村はさして重要な拠点ではない。ザイがしくじった以上、もう要はない」


「ホホホ…そうですか。では私もお力添え致しましょう」



そう言って笑みを浮かべるのは、クルド村の村長、ニッシュ=コーレックだった。



「え?…村長?何やってんだ!?」



マイルが困惑し、声を上げる。この人には何かあるとは思っていたが…



「あぁ、私を汚らわしい獣人族扱いするのは、もう止めて頂きたい…」


「「!?」」



ボコボコとニッシュの顔と身体が膨れ上がったかと思うと、徐々に形を変えていく。



「なんだぁ!?」



スキンヘッドで鷲鼻に大きな耳、顔の左半分を覆う火傷の痕。

なんだ?…コイツは?


ニッシュの姿形が変化していくと共に、そのステータスにもノイズのようなものが走り…


――――――――――――――――――

セーミス=ディヴィラウム Lv???

?????????  NPC

――――――――――――――――――



「さて…シン殿。どう致しましょうか?」


「この村にいる者…皆殺しだ」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る