151


セーミス=ディヴィラウム?…なんだコイツは?

村長のニッシュが別人になった?そもそもコイツは見る限り獣人族ですらない…



「別人に成り代わる魔法?…外見はともかく、ステータスまで偽るなんて…アンタ、何者なんだい?」



カルラが槍を構えたまま睨む。



「知る必要はない。お前達は此処で始末する。セーミス、一人たりとも逃がすな」


「ホホホ…では、に獣人族を数匹頂いても?」


「好きにしろ」



セーミスはニタリと笑うと、顔を隠すようにローブのフードを深くかぶると両手を掲げ…



「【血渇き死肉踊るコンウィクトゥス】」


「「!!!」」



村の周囲から紫色の光が立ち昇る!



「ホホホ…それでは死者との饗宴……お楽しみくださいませ」



セーミスはそう言い残すと、地面に溶けるように姿を消してしまった。



「なんだなんだぁ!?」


「これは…ちとマズイかもしれんのう…」



マイルが困惑したように周囲を見渡し、ハリスさんが顔をしかめる。



「うわあぁぁぁああ!!」

「アンデットだあぁぁ!!」


「!!?」



周囲から村人の悲鳴が上がる。村を取り囲む光、その光は地面から放たれており、そこから湧き出すようにが出現した。



「アヤツ…死霊術師ネクロマンサーか?」


「どうすんの!?ハリス!!…結界解いて戦った方が良いんじゃないの!?」


「ならん!!…こんな魔力暴走を続けていたらルルアの命が危ない。続けるんじゃ!」


「本気で言ってるの!?このクソジジイ!!」



ハリスさんとフィルが言い合っている…。シンと討ち合っていたカルラが一度距離を取り、俺の隣へと移動。



「おい、ガキ共…アタシはシンの野郎の相手で手一杯だよ」


「………」



そう言うとカルラは俺に視線を送る。



「仮にもハリスのジジイが認めた冒険者なんだろ?…やれるかい?」


「…はい、勿論」



俺はカルラに真直ぐ視線を返す。



「へぇ…ハリス達は今無防備だ、守ってみせな!!」


「守りますよ…!」


「…いいねぇ、気に入った!」



カルラは再びシンに向けて突進していく。村の門からモンスターが入ってきている。さてと…俺達は俺達の仕事をしなくちゃな。



「ノノ!村人を誘導して一ヵ所に集めて守れ!!マイルは俺と門で魔物を食い止めるぞ!!」


「「了解!!」」



直ぐにノノが動き出す。村人達に声を掛け、奥にある家屋に誘導する。



『解析完了。敵はアンデット系モンスターの群れです。スケルトン、グール、ワイトを確認。総数は100体以上、現在も増え続けています。演算開始…殲滅の為に提案できる戦略を考察します』



アドが情報を伝達。よし、アドもやる気満々だな。



「行こうぜ、ナギ!」



マイルが大剣を担ぎ、力強い目で俺に言う。



「…任せたぞ、ナギ」



ハリスさんが視線はルルアに集中したまま、背中越しに声を掛けてくる。



「!……はい!!」



いやー、ほんと…サイクロプスの時と言い、今と言い…。助けられてばっかりで…



「任せてください、ハリスさん……丁度、良い感じにフラストレーション溜まってたところなんで!」


「ん?ふらすとれーしょん?そっ…それだぁ!!!」



俺とマイルは門に向けて走り出す。マイルが青天の霹靂へきれきみたいな顔をして、何か言ってたけど今は置いておこう。


これ以上この村を…ルルアの故郷を、好き勝手させてたまるか!!



「【異能転化オーバーライト】!!」

「【炎剣】!!」



俺とマイルはアンデットの群れへと斬り込んだ!






「皆早く!!…入って!!」



ノノが村人を家屋へと誘導。これでほとんどの村人が入っただろうか、中は怯えた村人達ですし詰め状態になっている。



「ノノさん!!」


「リリアさん!…リリアさんも早く…入って」


「あの!ルルアは…ルルアは大丈夫なのでしょうか!?」


「センターギルドのマスター達が…対処してくれてるから…大丈夫!」



震える声のリリアをノノが励ます。



「…はい!でも、ナギさんとマイルさんは…あんなに沢山のアンデットに…」


「あぁ、あの二人なら大丈夫…」


「?」



ノノは駆けていくナギとマイルの背中を見つめる。



「万能と狂犬コンビは…伊達じゃ…ない」




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る