149
「ハリス…さん!?マイネさん!?どうして此処に!?」
「間に合って良かった!私達は…」
「説明は後じゃ。まずはこの状況を…」
ハリスさんが言いかけたところで、地面に魔方陣が浮かび上がる。その魔方陣は強い光を放ち…
「はーっ!とんでもないのが居るじゃないか!お尋ね者のシン!こりゃあハリスのジジイに乗せられて正解だったかな!」
「冗談じゃないよ…本部の待機命令無視して、マスター3人が出張るなんて……後で始末書じゃ済まないでしょ、コレ」
魔方陣の中から突如姿を現した二人。スラリと背の高い、赤味を帯びた髪の女性と、輝くような金髪に尖った耳の少年。
「あ!…センターギルドの!!」
俺達がクルド村に来るまでに出会った…。ローユの街センターギルドマスターの男勝りな女性、カルラ=リグショット…そしてリシングの街のマスターを務めるエルフ族、フィル=ファインズの二人であった。
「それにしても、何コイツ?…とんでもない“
金髪のエルフ族フィルが、今や黒い悪魔と化したルルアを見て顔をしかめる。
「ナギ、状況を説明せい…なるべく簡潔にな」
「あ…っと、“シェンフール”という謎の組織と戦闘中です。敵の総戦力は不明、ですが他にも仲間がいると考えて間違いないかと…それから……ルルアが黒い影の様な物に覆われて…自我を失っているようで、どうすればいいか…」
ハリスさんに言われて、混乱した頭のまま何とか状況を伝える俺。ハリスさんは俺の話を聞くと、小さく頷き…
「…魔力の質が似ていると思ったが、やはり…ルルアか」
ハリスさんはルルアを真直ぐに視界に捉える。
「あのっ!…どうかルルアを!」
「わかっておる、安心せい…とはいえ、この男が相手となると…」
ハリスさんはルルアからシンへと視線を戻す。
「センターギルドのマスターが3人もお出ましとは…ザイ、退け。お前で太刀打ち出来る相手じゃない」
「でも!…」
「退け…と言ったんだ」
「!…はい」
シンがザイへと冷ややかな視線を送り、ザイはバツが悪そうに暗がりへと消えてゆく。
「……随分とあっさり見逃してくれるんだな。マスターハリス?」
「ふん…あんな小童1人、後からどうとでもなるわい。それより、お主は逃げぬのか?」
「…逃がしてくれるなら、な」
「そんな訳ないだろう!」
「!!」
一瞬でシンの背後へと回り、槍を振り下ろすカルラ=リグショット!
紅い刃の槍がシンを捉えたかに思えたが!…
「おっと…危ない危ない」
「あぁ!?」
シンの姿は消え、カルラの槍は空を切る!
シンはカルラの背後へと移動していた!
「ちっ……おいハリス!コイツはアタシによこしな!」
カルラはシンから一度距離を取りながら言う。
…速すぎる!いつ動いたのかも分からなかった。
あんな動きをするカルラも凄いが、アレを躱す方も躱す方だろ…
俺はカルラとシンのただの一撃のやり取りだけで、思い知る…次元が違う。
「…まぁ良い。じゃが分かっておるな?…アヤツはセンターギルドのマスターを1人、殺しておる…気を抜くでないぞ」
「分かってるっての!!」
カルラが再びシンに接近!
槍を巧みに操り連撃を仕掛ける!
「…“
「余裕ぶっこいてんじゃ…ないよ!!」
シンは腰に差していた湾曲した短剣を抜き放ち、カルラの攻撃を的確に捌いていく。
助太刀…は無理だな。付け入る隙がない。
「あのバカおん…カルラ1人に任せていいの?アイツ、相当強いでしょ?」
フィルがハリスに言う。
「ひとまずヤツはカルラに任せる…ワシ等はこっちをなんとかせねばな」
ハリスはルルアに向き直る。ルルアは苦しそうなうなり声を上げている。
「フィル、マイネ!…“三方結界”じゃ」
「は!?…そんな面倒な!僕がささっと片付けるよ」
フィルが両手に魔方陣を展開。
「ならん!!アレは罪のない獣人族の子供じゃ、傷つけず、暴走を止める」
「え?…獣人族?獣人族がこんな魔力を?…マジで?」
「つべこべ言っとる時間は無い!このままだとルルアの命に係わる!始めるぞ!」
「ちょ!…僕あんまり結界魔法は得意じゃないんだけど」
「ふん!エルフに苦手な魔法があるとは…“魔法に愛された種族”が聞いて呆れるわい」
「なっ!?」
「やれるのか?やれんのか?」
「やるよ!やってやるよ!……クソじじいめ」
ハリス、マイネ、フィルの三人がルルアを取り囲む。三人がそれぞれ地に両手を着き唱える…
「「「【
三人を結ぶように光の線が走り、そこから光の壁が出現。ルルアは三角錐の光の壁に閉じ込められた!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます