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♦︎


「…ルルア、聞いて」


「……」



俯き、口を閉ざしたままのルルアにリリアが語りかける。



「…村にいてもアナタは幸せになれない。ここから逃げなさい、ルルア」


「……」


「…冒険者様、どうかルルアを連れていって下さい」




リリアはノノに深々と頭を下げる。



「…リリアさんは……どうするの?」


「私は…村に残ります。私を連れていては逃げきれないでしょう。ですが、ルルアと冒険者様だけなら…私が時間を稼ぎます。どうか、ルルアを宜しくお願いします!」



ノノは頭を下げるリリアを見つめる。そして、静かに口を開く…



「たぶん…ウチのボスは…そんな作戦立ててない」


「ボス?…」


「うん…ノノ達のギルドのマスター…ナギのこと」


「ナギ…あの子が冒険者様のリーダーなのですね。ですが、シェンフールは大きな組織です!冒険者様でも…」


「ナギとマイルが戦ってる…あの2人なら……!!」




突然、ルルアが走り出す。



「ルルア!?」


「ルルアたん!?…」



慌ててノノとリリアも後を追う。だが、ルルアはクルド村へ向けて脇目も振らずに走って行く…







「甘いわ!!そんな攻撃がこのマイル様に通用するかぁ!!」



オレは右後方から飛んできたナイフを大剣で叩き落す。この野郎、相変わらず陰湿な攻撃繰り返しやがって…フロストレーズン溜まるんだって!!



「でも…」



段々テメーのスピードにも慣れてきたぞ…見てろよ、そのすまし顔引っ叩いてやる。



「うらっ!!」



オレは大剣を振り上げ、接近!

ファニはすぐさま回避行動!



「…なんてな」



オレは大剣を振り下ろす…と見せかけたフェイントを入れ、体を捻り無理矢理に斬撃の軌道を急変更!ファニの逃げた先へ薙ぎ払い攻撃を仕掛ける!!



「なっ!…」



ファニはギリギリでバックステップして大剣を躱す!…あー!惜しかった!!でも…



「やーっとその無表情が崩れたな、スカシ野郎」


「………」


「いくぞ…こっからはスーパーマイル様タイムだ。ビシバシ追い詰めるから覚悟しろよ?」



オレは大剣を構え直し、駆ける。



「おらあっ!!」


「……っ!」



スピードじゃ負けてる…単調な攻撃になるな、フェイントや視線でのブラフを織り交ぜつつ…相手の予想外の角度から、攻撃!!


オレは頭の中で、自分に言い聞かせながらファニを追い立てる!



「…くっ!」



へへ、余裕が無くなってきたな?…そろそろ……



「喰らいやがれ!!」


「なっ!!」



オレは右足で足払いを仕掛け、態勢を崩したファニに大剣を振り下ろす!!



「【影渡】!」


「っ!!」



一瞬にしてファニの姿が消え、オレの背後に移動する!!



「…死ね」



ファニが短剣で斬り付ける!!



「…!!?」


「…つっかまーえた」



オレはニヤリと笑う。ファニの斬撃を受けながらも、オレは左手でファニの胸倉を掴んでいた。



「な!?」


「お前のその瞬間移動スキル…敵のにしか移動できないんだろ」


「!!」


「出てくる場所が分かってれば、こうやって捕まえることも出来んだよタコがぁぁああ!!」


「ぐあっ!!」



オレはしっかりと胸倉を掴んだまま、ファニに頭突きを喰らわせた!!



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