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「ルルア!…ち、違うの!お父さんは…」

「ナギ!!」


「どうした!?」



ルルアがその場に棒立ちとなる中、マイルが声を上げる。



「この家の周りに人が集まってる!取り囲まれてるぞ!!」


「なっ!」



マイルが血相を変えて言う。そうか、マイルは【気配感知】のスキルを…取り囲まれた!?



「!!…早くお逃げください!どうかルルアを…」

「それはならぬのぉ…リリア」


「「!!」」



家の扉が勢いよく開け放たれ、外から村長ニッシュの声が…。



「まったく…を逃がそうとするとは、この村を滅ぼすつもりかリリア?」


「何がどうなってんだよ!!」



俺、マイル、ノノは家の外へと出る。そこには数十人の村人が集まっており、手には各々くわや鎌など武器になり得そうなものが握りしめられている。これは…少々面倒なことになったぞ…。



「動くんじゃねぇ!冒険者共!…お、大人しくしろ!!」



1人の男が声を上げる。目的は…俺達。それは分かり切っているが…飢餓に苦しんで村に行きついた者を襲っている?…いや、これはそう単純なことじゃないはずだ。


俺は村長であるニッシュを睨みつける。そうだろ?村長さん…。



「お願いします!!この方々だけは、どうか!見逃して下さい!!」



リリアさんが表に出てきて、すがるような声を上げる。



「そんなことしたら、俺達が殺されてしまう!!」

「そーだ!その人達には悪いが、死んでもらうしかない!」


「!…」



やはり…この村の問題は、からの影響を受けている。それをアンタは知っている、そして何かを隠している…。俺はニッシュを睨みつけたまま思考する。



『視界内の全人物の解析完了。この者達の中の最高レベルは16。マスターの【威圧】スキルの発動を推奨します』



アド!…そういえば【威圧】スキルとかいうものを習得してたな。



『現在【威圧】のスキルレベルは1ですが、マスターとこれだけのレベル差があればかなり有効だと思われます』



よし、【威圧】…発動!



「なっ!」

「っ!!」

「ひっ!」



村人達に明らかな動揺が走り、後ずさる。おー、便利だなコレ。さて…



「どいてくれ…俺達はアナタ方とやり合うつもりはない」


「そーはいかないねぇ…」


「!!」



不意に俺達の頭上から響く声。声をした方を見上げると、家の屋根の上に三人の男の姿が…



「あぁ!…だ!!」



村人達が恐れおののき、散らばっていく。



「…シェンフール?」


「え?それってオレがぶっ飛ばしたツヨシ君の言ってたヤツじゃ!?」


「おいおーい…使えねぇゴミ共だなぁ。獲物はちゃんと、戦闘不能にしてから献上しろって言ってんだろ」



屋根の上に立つ男の一人が俺達を見下ろしながら言う。…そうか、コイツ等がの元凶か……アド。



『はい、解析します。右からレベル42、48、44…敵【隠蔽】スキルへの抵抗を開始…』



敵は3人…全員レベル40オーバー…。



「お前ら、アイテムと武具置いて大人しく死ね。そうすりゃ楽に殺してやるよ」



中央の男が冷ややかな声で言う。紫色の頭髪に、気だるそうな目、耳には複数のピアス、黒のクロークにレザーアーマー……プレイヤー名はザイ、か。



「………」



向かって右側、口布で顔の下半分を隠し、黒装束に身を包んだ男、…名前はファニ。



「フーッ…フーッ…」



そして左側、荒々しい呼吸音がここまで聞こえてくる…全身を厳つい甲冑に包まれ、素顔さえ見えないが、異様なほど体の線が太い…プレイヤー名、ゴルト。



『【隠蔽】スキルの打破に成功しました。プレイヤー名ファニ、【影の暗殺者シャドウアサシン】Bランク。…プレイヤー名ゴルト、【重剛戦士ヘビィクリーガー】Bランク。…プレイヤー名ザイ、【呪術騎士フルーフ・リッター】Aランク』



Bランク二人に、Aランク……



「で?…答えは?…大人しく死ぬか?それとも…抗うか?」



中央に立つ男、【呪術騎士】のザイが俺達を睨む。



「…だってよ、ナギ?」


「あー…これは、苦労するなぁ」


「あ?…苦労?……苦労する、で済むと思ってんのか?お前ら」



俺とマイルが剣を抜く。ザイは表情を変えずに、俺達を見下ろし続ける。



「ノノ、ルルアとリリアさんを頼む!」


「ここはオレとナギに任せろ!」


「……わかった」



ノノがルルアの手を引いて走り出す!



「早く!…」


「え!?わ、私は…」



ノノが声を掛けるが、突然の事に戸惑うリリアさん。



「リリアさん、早く行ってください」


「で、でも…私が逃げたら…」


「リリアさん、あなたはクルド村の住人と、ルルアの母親の…どっちでいたいですか?」


「!!…」


「良いから行ってくれ!ナギとオレがスパッと片付けるからさ!…やっとルルアと会えたんだろ?」


「…はい!すみません!!」



リリアさんはノノ達と共に走り出す。よし…それでいい。



「…どいて!…【着替武装ドレス】!!」



ノノの操るミハエルの両手から鋭利な爪がとび出す!

それを見た村人達は恐れをなし、ノノ達に道を開ける。




「逃がしはしない…」



黒装束の男、ファニが動く!

跳び上がり、走るノノに向けて投擲用のナイフを構える。…させないよ。



「【ライトニング】…」



俺は今使える中で最速の魔法を放った!

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