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「アド…ミニスタ?…」


「おいおい!マジでどうなってんだよナギ!?成長期!?成長期なのか!?」


「…バグ?」


「ナギ、どうしたの?」



分からない…。とにかく何か異変が起こっているのは確かだ。そしてこの【管理者アドミニスタ】というスキル…。詳細は分からないが…



「あぁ!もう知らん!」



俺は好奇心に負け、Yesを選択。これで【識別】スキルの上位互換であろう【解析】スキルを失って、役に立たないスキルが出来てしまったら…



『スキルの作成に成功しました』


「!!」



不意に頭に響く電子音声。中性的なイメージの声。



「どうした!?ナギ」


「え!?この声…」


「声?…」



どうやら俺にしか聞こえていないらしい。次から次へと…なんなんだ…



『私は【管理者アドミニスタ】。何かお手伝い出来ることはございますか?マスター』


「うぇ!?…えっと…何が出来る?」


「何一人で喋ってんだ?」


『私と会話する時は、声に出さずとも頭の中で語りかけて頂くだけで結構です、マスター』



え!?…はい。俺は困惑したまま電子音声と頭の中で会話する。これが【管理者】のスキル、なのか?



『私は【解析】や【鑑定】の能力を備えた、自立思考型スキルです。マスターのご要望にお応えして、マスターのお手伝いをさせていただきます。マスター専用のナビゲーターと認識して頂ければ問題ありません』



…いまいち良く分からないが……なぜ、急に俺のステータスが変化したんだ?



『マスターのユニークスキル【万能器ばんのうき】の影響によるものだと思われます』



【万能器】!?…そんなスキル持ってたか?

俺はツールボックスを開き、スキルリストを確認。



「……!?」



ユニークスキル【万能器】…それは確かに俺のスキルリストの中に存在していた。いつの間にこんなスキル…だがこのスキルの詳細は不明となっている。


アドミニスタ!このスキルの詳細を教えてくれ!



『申し訳ございません。このスキルに関しては詳細不明です。スキルの解析を行いますか?』



頼む!



『解析開始……【万能器】の解析にはかなりの時間を要します』


「…そうか」


『ですが、どうやらマスターのスキルの習得速度を飛躍的に高める効果があるようです。その他の効力については、まだ解析出来ていません』



スキルを習得しやすくなるってことか!…願ってもない効果だ。しかもそれ以外にも【万能器】には隠された性能があるってことか。



『このまま【万能器】の解析を進めます。ご命令の際はお呼び立て下さい』



呼ぶ時は…アドミニスタ、でいいのか?



『構いません。もしくは、マスターの呼びやすい名を名付けて頂ければ、そちらで自己認識致します』



…じゃあ、アドミニスタを略して…アド、とかどう?



『承知しました。【管理者アドミニスタ】改め、私は“アド”と名乗ります。今後とも宜しくお願い致します、マスター』



あー…うん、よろしく。




「おぉーい!?ナギ!?」


「え?…」



気が付くとマイルが俺の顔を覗き込んでいる。



「何一人でぶつぶつ言ってんだよ!?怖いぞ?」


「あ、あぁすまない!ちょっとアドミニスタと話してて…」


「「「ん?…」」」



…まぁ、そうなるよね。俺はマイル達に【管理者】のスキルについて説明した。






「それって…」


「なにそれカッコイイ!オレも欲しい!」


「いやー…俺自身、このスキルのこと良くわかってないし…」



だが、俺は【管理者アドミニスタ】の有用性をすぐに実感することとなる。








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