管理者〈アドミニスタ〉

122



「ナギ!おはよっ!」


「ん…」



目を開けると、俺を覗き込むルルアがいた。辺りは既に明るい。無事に朝を迎えたようだ。



「おはよう、ルルア」



俺は身体を起こし、ルルアと共にテントから出る。



「おはようナギ!ぐっすり眠ってたな!」



外ではノノとマイルが野営の片付けを始めていた。



「お陰様でな。悪いな、見張り任せちゃって…」


「気にすんな!」



俺も二人に加わり、テントを解体する。…なんか夢を見ていた気がするんだけど……なんだっけ?



「ほれ、ナギ!」



片付けが済んだところで、マイルが携帯食料を投げてよこす。この世界の携帯食料…乾いたパンのような食感で、味気ないが…不味くはない…かな?



「よし、じゃあそろそろ出発するか」


「おう!」



簡単に朝食を済ませ、俺達は三日目の旅路へと踏み出した。









「ルルア、下がれ!」



出発して早々、5体のコボルトの集団と遭遇。ルルアを後方に回し、俺とマイルが前に出る。数が多いな…俺は警戒する。



「…え?」



♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

   パッシブスキルを習得しました

  ・【気配感知】Lv1

  ・【調整】Lv1

  ・【診断】Lv1

  ・【威圧】Lv1

  ・【鑑定】Lv1

  ・【指揮官】Lv1

  ・【不屈】Lv1

  ・【MP急速回復】Lv1

  ・【AP急速回復】Lv1

  ・【HP自然回復】Lv1

  ・【付与者あたえるもの】LvMax

  ・【急速成長】LvMax


  ジョブの熟練度が上昇しました

 【中級剣士】から【上級剣士】へ

 【中級魔導士】から【上級魔導士】へ

 【下級神官】から【上級神官】へ

 クラスアップしました

 

 それに伴い、計17個のジョブスキルを獲得

 詳細を確認しますか?――Yes/No

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦




「なんだ!?…これ」


「大丈夫か!?ナギ…ってなんだそりゃ!?」



不意に俺の前に表示されたポップアップ。おいおいどうなってるんだ!?急に大量のスキルを習得したぞ!?…詳細確認…といっても、今戦闘中!!



「と、とりあえず目の前の敵だ!マイル!」


「お、おう!【炎剣】!!」



俺はマイルと共に敵に突っ込む。何が起こってるかわからないが、先ずはコイツ等を片付けてからだ!



「ゲゲッ!…」


「お!?」



眼前のコボルトを斬りつける…コボルトは光となって消滅…


え!?スキルなしで一撃!?……上級剣士にクラスアップしてステータスが上昇している!?



「ゲギャ!…」

「ギャヒ!…」



続けてマイルが二体のコボルトを屠る。の…残り2体…



「【ファイア】!」



ルルアが炎の魔法で1体を撃墜!

だがそこへ残ったコボルトが跳びかかる!!



「ルルアたんに…近づくなー!…【硬質化アイアン】!」


「ゲギュッ!!」



ノノが鉄人形でカウンターをお見舞い!コボルトは消滅。リザルトが表示され…



「お?…」

「え?…」

「ん?…」



レベルが…上がった。サイクロプス戦でレベルが上がったばかりなのに?…これでレベルが29に…。ノノとマイルもレベル28へと上がったようだ…もう何が何だか…



「ナギ!お前なんかスゲーことになってなかったか!?」


「ちょっと待ってくれ…ステータスを確認してみる…」



ピコン――


「?」



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 【識別】Lv7のスキルが

【解析】Lv1へと進化しました。

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おいおい…ホントにどうなってるんだ!?…急激に色々変わりすぎて頭が追い付かないぞ…こんな予兆もなしに大量のスキルを習得しても…管理しきれないぞ…



『困惑しているな、少年。ならばコレは私からの餞別だ…私にはもう不要なものだ。有効に使ってやってくれ』


「!?」



不意に聞こえた気がした男性の声。この声!…確か夢の中で…



ピコン――



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 【解析】【鑑定】【診断】【調整】の

スキル及び、スキルポイント10を代償に

新たに【管理者アドミニスタ】のスキルを作成できます。


 作成しますか―――Yes/No

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俺自身に、明らかな変化が起こっていた。

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