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「ナギ!!」
マイルと共にしばらく歩くと、ノノとルルアの姿が見えた。ルルアが涙を浮かべながら駆け寄ってくる。
「ナギ!死んじゃうかと思った!!」
泣きながら俺にしがみつくルルア。心配…かけちゃったな。
「大丈夫だルルア、死んだりしないよ」
「うぅ…」
いや、まぁホントに俺達はこの世界じゃ死なないんだけど…。
俺はルルアの頭を撫でて落ち着かせる。
「ナギ…ちゃんと…帰ってきたね…」
「実は…バトスさんに助けられて。覚えてるか?クランツのセンターギルドですれ違った、バトス=ローガンって人なんだけど…」
俺はバトスさんに助けられたことをノノ達に話した。
「え!?…バトスさんって……“ぐれーくろす”っていう人?」
「!!…ルルア、知ってるのか!?」
♦
その頃…
「本当に面白いボウズだ…」
ローユに向けてリラの山道を一人歩く男、バトス=ローガン。
「しかし、あの能力…遂に現れたか、“器を継ぎし者”が。ナギ…か。このバトスが見極めようじゃないか、お前が予言通りの男かどうか!」
バトスはニヤリと笑みを浮かべる。
「…っと、歳を喰うと、独り言が多くなっていかんな」
バトスは自嘲し、苦笑いをするが、直ぐに鋭い目付きに変わり…
「…なんでぇ、コボルトかよ。お前らは依頼のターゲットじゃねぇんだけどなぁ」
バトスを取り囲む、4体のコボルト。
「ゲゲゲゲ!!」
「ゲガガギ!!」
「…はぁ~、まったく…平原のオオカミ共でさえ、分をわきまえて強者には近づかぬというのに。己と相手の力量差も分からんとは…」
4体のコボルトが一斉にバトスに跳びかかる!
「はぁ~あ、お前ら狩っても金にならんというのに…」
ぼやきながら、剣の柄に手を掛けるバトス…
次の瞬間には4体のコボルトがバラバラに切り裂かれていた。
♦
「バトスさんのこと、知ってるのか?ルルア」
「うん…ルルアが奴隷だった時、センターギルドで冒険者の人達がよく話してた。…“ぷれいやー”?を襲ったこともある…とか、危険だから近づくな…とかって冒険者の人達が話してるのを聞いたの」
「!…」
ますますバトスさんの素性が読めないな。プレイヤーを襲った?…あのバトスさんが意味もなく、プレイヤーと戦闘をするとは思えないが…。火のない所に煙は立たないともいうし…一体どういう人なんだろう。
「で、でもね!…バトスのおじさん!悪い人じゃないよ!?」
「!?」
「おじさんね…前のご主人様に内緒でルルアにお菓子くれたりしたの!!」
「「「!!」」」
「んー、まぁとりあえず良い人ってことでいいんじゃないか!?実際オレ達は助けられたわけだし、オレは好きだけどな、あのおっさん!!」
…まぁ、そうだな。あの人と敵対する理由もないし、したくもない。…まあ敵対出来るようなレベルでもないわけだけど…。
「そうだな、バトスさんには次に会うことがあれば改めてお礼をしよう。さて、なんとか無事に合流出来たことだし、先を急ぎますか!」
「「「おー!!」」」
俺達は再び、クルド村へと向かう道を進みだした。
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