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「【フレアボム】!」



火球がサイクロプスに直撃。爆発を起こし、サイクロプスが怯む。

動け!…止まるな!…動きを止めたらやられる!!



「【拡散速射ラピッドショット】!…【異能転化オーバーライト】!【瞬進斬】!」


「グルアアァァァアアア!!」



サイクロプスの攻撃を回避しながら、着かず離れず攻撃の手を緩めない。…だが、そろそろ…




「ハァ…ハァ…!」



息が苦しい…足が重い…MPもAPも残り少ない…これは、流石に…。




「【四重斬フラッシュフォース】!!…」



俺は最後の力を振り絞り、サイクロプスに攻撃…だが



「残りHP…4870…バケモノめ…ハァ…」


「グウウゥゥゥ…」



俺は動きを止め、サイクロプスがゆっくりと近づいてくる。

コレだけやってHP半分も削れなかったか…圧倒的実力差。もう少し、やれると思ったのにな…。MPもAPも殆ど使い切った…スキルのクールタイムもまだ消化しきれない…凄まじい疲労感が身体を襲う…視界が、霞む…。



「ガアァァァァアア!!」


「…あーはいはい、負けたよ。でも…次は勝つ」



サイクロプスが激しい咆哮ほうこうの後、拳を振り上げる!

ノノ、マイル…悪い、ルルアを頼んだ。




「………」



サイクロプスの拳が近づいてくる…俺は、目を閉じた。








とある場所…



「…流石に限界かしら?…でも、よく頑張ったわ!ナギ君♡」


『…あの者は、危険ではありませんか?レイラ様』


「敵になるならそうね…でもあの子は私が手に入れるわ。それに…いいじゃない、危険な男♡」


『は…はぁ…』


「もう充分よ、カイル。ナギ君はしっかりとを示してくれたわ…サイクロプスを回収しなさい。……!!!?」



サイクロプスと少年を映し出す鏡に、不意にが映り込んだ。








サイクロプスの拳が俺に迫る…



「……え?」



突然俺の目の前に現れた男。ボロボロのローブを羽織っている…この人は!?




―――――――――――――――――

  バトス=ローガン Lv78

 [放浪者]  NPC

 ギルド:無所属 契約請負人

―――――――――――――――――



「あ…」



そこからは一瞬だった。俺とサイクロプスとの間に現れた男、バトス=ローガン。俺に見えたのはこの男が剣を抜いたというところまで。次の瞬間には…



「グギャアアアァァァアアア!!!」


「え?…」



サイクロプスの腕が細切れになって弾け飛ぶ!!

傷口から、サイクロプスは奇声を上げて苦しむ!


どう…なってる?



「要らぬ世話…だったか?ボウズ」


「……え…っと」



ローブのフードがはだけ、素顔が露わになる男。この人って確か、“ぼろ雑巾グレークロス”って呼ばれてた、NPCの…








『レイラ様!あれは!!…』


「“ぼろ雑巾グレークロス”!?…なんでアイツが!?」


『これは…一体!?』


「なぜあの男が?…プレイヤーにもNPCにも馴染まないぼろ雑巾グレークロスが、ナギ君を助けた!?…」


『如何致しますか?…レイラ様?』


「……いいわ、退きなさいカイル。あの男が出張るなら、ナギ君が死ぬこともないでしょう」


『はっ!』


「…面白いじゃない。アナタは運も味方にするのかしら?ナギ君」



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