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「おー!!見えたぞ!ナギ!!」


「着きましたよ!ナギさん!」


「!…」



マイルとロッツの言葉で俺は目を覚ます。荷台から外を覗くと、辺りは夕暮れで赤く染まっている。



「あれがローユの街です!」


「おぉー!」



進行方向に目を向けると、明々と光を放つ大きな街が見えた。徐々に薄暗くなってゆく周囲とは対照的にその街の光は存在感を増してゆく。



「このまま街に入りますけど、どこか目的の場所はありますか?」


「とりあえず、ローユのセンターギルドに行きたいですね…後は宿を取りたいのですが、どこかいい宿を知りませんか?」


「お任せください!それではローユの街を軽く案内しながら、センターギルドまでお連れしますね!」


「お願いします!」



ハリスさんによると、ローユの街にもセンターギルドがあり、そこにも飛翔石盤が設置されているから登録しておくよう念を押されていたのだ。センターギルドに行けば色々と情報も集まるだろう。



「うわぁー!!すごく明るいね!」



ノノとルルアも目を覚まし、街並みを見て声を上げる。荷馬車は大きな門を潜り、街の中へと入っていく。様々な店が立ち並んでおり、窓から光が漏れている。人通りも多く、流石は商売の街、といったところか。



「あそこに見える宿が安くておすすめですよ!ベッドは少しばかり固いですけど、あそこの自家製ビールは飲む価値アリです!」



そう言ってロッツが建物を指差す。レンガ調で緑の屋根、煙突からは煙が上がっている。宿の名前は…渡りの宿…か。それより…



「俺達未成年ですけどね…」


「え!?…ナギさんはおいくつなんですか?」


「16です」


「え?…ですよね?」


「え?…」


「ん?…16歳なら成人迎えてるじゃないですか」


「「え!?」」



そうなの!?。ロッツによると、どうやらこの世界では15歳で成人を迎え、アルコールの摂取も許可されるのだとか…。



「飲んでみるか!?ナギ!?」



マイルが興奮したように言う。…興味はあるけどな。



「んー…ロクなことにならなさそうだから却下」


「えー!!」


「きっちりルルアを守るんじゃなかったっけ?」


「うぐ……へーい」



マイルが口を尖らせる。



「着きましたよ!センターギルドです!!」



そう言ってロッツが荷馬車を止める。建物はクランツにあるものと似たような造りだな。看板には“センターギルド ローユ”の文字が。



「ありがとうございました!ロッツさん!」


「いえいえ!こちらこそありがとうございました!何かお手伝いできることがあればご用命ください!いつもは大体この街でフラフラしておりますので」


「わかりました!またいつかお会いしましょう」


「はい!是非!」



俺達は荷馬車から降り、ロッツに別れを告げる。ロッツは荷馬車を率いて去っていった。さてと…



「まずはローユの飛翔石盤を開放しておこう」


「おっけー!」



俺達はローユのセンターギルドへと入っていった。



中は想像を絶する騒がしさだった。フロアに並べられたテーブルは人で溢れ、酒を飲みながら飛び交う大声と笑い声。クランツのセンターギルドよりずっと激しいな…。




「ん?…なんか用?」



俺達は受付カウンターまで歩いていく。カウンターに腰掛けていた女性が俺達に目を向ける。



――――――――――――――――――

 カルラ=リグショット Lv???

 [センターギルド:マスター] NPC

――――――――――――――――――



こ、この人がローユのセンターギルドマスターなのか?…



赤味がかったセミロングの髪を後ろで纏め、スラリとしたしなやかな身体をレザースーツのような衣服に包んでいる。カウンターにだらりと足を乗せ、手には酒瓶…え?飲んでんの?この人?



「あ…アンタらか、ハリスのじじいが言ってた新人ルーキーってのは」


「え?」



ローユセンターギルドのマスター、カルラはカウンターから足を下ろし、俺達に向き直った。

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