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クランツを出た俺達。先ずはクランツを取り囲む草原を抜けて、真っ直ぐ南下した先にあるという“ローユ”という街を目指す。クルド村まで最短で三日間ということだったが、多少遠回りをしてでもハリスさんから聞いた安全ルートで進む予定だ。道中、いくつか街を経由してそこで宿を取ろうと考えている。
野宿するための準備も整えてきたが、ルルアの体力も気遣って、なるべく野外での寝泊まりは減らしてやりたい。クルド村まで4~5日程の時間をかけてゆっくりと進むつもりだ。
「先ずはローユの街を目指すんだろ?どんなとこなんだろうな?」
「ハリスさんの話だと、行商人が集まる活気のある街だってことだけど…」
「今日は…そこで休むの?」
「あぁ、半日あればローユに着けるって話だから、夜には到着できるだろう。ローユの街までの道のりは比較的安全だそうだから、しんどくなってくるのは明日からって感じかな?…その前に宿でゆっくり休もう」
「ルルアたん…ノノと一緒に、夜まで頑張って歩こうね?」
「うん!」
そんな会話をしつつ、俺はマップを確認しながら、平原を進んでいく。その時…
「ギャギャギィ!!」
「「「!」」」
木陰から飛び出してくる三体のモンスター。
「出たなー!ゴブリンめ…ルルア、後ろに下がっとけよ!マイル兄ちゃんがスパっと片付けるからな!!」
平原の定番モンスター、ゴブリンが三体現れた。マイルが意気揚々と前に出る。平原のモンスター程度、マイル一人に任せておいて大丈夫だ…。
「おっけー、任せた、マイル」
「んじゃ…よろしく…」
「あいあい!!」
マイルが剣を抜き、一気に踏み込んで斬りつける!
一番前にいたゴブリンが光となって消滅。残り二体のゴブリンは警戒態勢。マイルが距離を詰める…
「待って!」
「っと!?…」
不意にルルアが声を上げる。マイルは急停止し、振り返る。
「ルルアも…戦う!」
「え!?…」
ルルアが杖をゴブリンに向ける。
「ギギ?…」
「えーっと…動く敵は、相手をしっかりと目で追って…まっすぐに…撃つ!【ファイア】!」
ルルアは何やらぶつぶつと独り言のように呟いたあと、魔法を発動!
杖の先から火球が放たれ、一体のゴブリンを火だるまに!!
「ギャギャアアァァァィィ!」
ゴブリンは消し炭のようになって、燃え尽きた。ん?なんか、今の…
「おぉー!!スゲェじゃん、ルルア!!」
「や…やった!」
「ギャギイ!!」
「きゃっ!!」
残った一体のゴブリンが逆上し、マイルの脇を通り抜け、ルルアに跳びかかる!
「よっと…」
俺はすぐさま割って入り、ゴブリンが振り下ろしてきた棍棒を剣で弾き返す。
「おいおい、ちゃんと守れよマイル」
「あははー…ワリィワリィ、ルルアの魔法に驚いちゃって……そらよっと!」
俺が弾き返したゴブリンに、マイルが上から大剣を振り下ろし、ゴブリンは消滅。リザルト画面が表示された。
「あ…ありがとう、ナギ…ごめんなさい」
「?…謝る必要はないよ、ルルア。でも、敵が残っている間は気を抜いちゃダメだ…」
「…はい」
「でも…凄い魔法だったな!ハリスさんと特訓、頑張ったんだな」
しょんぼりしているルルアの頭を撫でる。ルルアは、ぱあっと表情を明るくし…
「うん!!」
と頷いた。それにしても…今の…
「ルルアたん…大丈夫だよ~…ナギナギは厳しいですねぇ…怖いですねぇ…」
「そーだそーだ!ルルアを苛めるなー!」
「え…いや、苛めてはないだろー!!」
「いーや、今のはナギが悪いねー!…こんな
「なっ!…俺はルルアの身の安全を想って…ていうか、元はと言えば、マイルがちゃんとブロックしないから…」
「ふふっ!…」
「「「?」」」
冗談まじりに言い合う俺達を見て、ルルアが笑う。…そんなルルアを見て、俺達もつられて笑う。無事に…送り届けてやらないとな。
俺達は再び歩き出した。
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