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センターギルド地下…



あ、危なかった…。



「…【ファイア】!」



ワシ…ハリス=ウースラッドは、目の前でルルアがサイズの炎を放つのを見つめる。


…とんでもない子じゃ。まさかアレほどの魔力を練り込むとはのぉ…本来なら魔力が暴走してしまう程の魔力量を、魔法として成立させおった。咄嗟に防御魔法を発動していなければ…死んでたな、ワシ。良かったー…生きてて。


下級魔法もこの子が使えば中級魔法レベルの威力…とは言え、あんなものバカスカ撃たれては味方が巻き添え食っちまうからのぉ。今は魔法に練り込む魔力を制御する練習をさせておるが…問題無さそうじゃ。



「よしルルア…【ファイア】は完璧にマスターしたようじゃのぉ」


「うん!ありがとう!ハリスさん!」


「うむ…」



礼を言われるほどの事はしとらん。それ程に吸収能力が高い…否、。魔法適性というものは、持って生まれた魔力の量や質によって判断される。じゃが、それを扱えるかどうかはまた別の話…。膨大な魔力を持って生まれたが、制御しきれず魔法を使えない…なんてのはよくある話。それをこの子は、魔力をまるで自分の手足でも使うかのように…



「次は…氷の下級魔法【アイスショット】じゃ」



ワシは掌から氷の矢を放つ。



「…今度は魔力を冷気に変えるのじゃ。魔力を冷やしていくイメージじゃな…」


「うん……」



ルルアの手から冷気が溢れ出す。…これじゃ、軽く見ただけであっさりと真似おる…。人族の子の成せる技ではないぞ…まるで、精霊に愛されておるかのような…。



「ルルア、頑張るね!」


「うむ…ん?頑張る?」



っ!!!る、ルルア!魔力込め過ぎっ!!…

口に出そうとするが間に合わず、ルルアが魔法を放つ!!



「待て!ルル…」

「【アイスショット】!!!」




ずどおおぉぉぉおおおん!!―――



「んぎゃああああぁぁっ!!」


「きゃああぁぁぁぁあ!!ハリスさああああああんっ!!!!」









「お疲れ様、ルルアちゃん。もう魔法を使えるようになったんだって?凄いわね!」


「えへへ…ナギ達、喜んでくれるかな?」


「きっと、大騒ぎで喜んでくれるわよ。特にマイル君とかは…」



カウンターに座るルルアとマイネの会話が聞こえてくる。ワシは入れたてのコーヒーで、冷えた身体を温める。


全く…酷い目にあったわい。じゃが、今日1日で下級魔法はほとんどマスターしてしまいおった。可愛い顔して、恐ろしい魔力を秘めとるのぉ…。ワシは楽しそうなルルアの横顔を眺める。



『よいか、ルルア…攻撃魔法を使うのは、自分の身が危なくなった時だけじゃ。村に戻ってからも、魔法を使えるということは極力知られないように過ごすのじゃぞ?』


『うん、分かりました!』



ルルアとの会話を思い出す…。この子の才覚は本物…これを知られれば、よからぬ者達が狙ってこないとも限らん。センターギルドの目の届くところに置いておくのがベストなんじゃが…。



「あ!ナギ!!」


ルルアがカウンターの椅子から跳び下り、駆け出す。店の扉から、依頼を終えた小僧達が入ってきた。




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