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クランツの街が見えてきた。あの後俺達は遭遇するモンスターを狩りつつ、クランツ近郊まで帰ってきていた。
「おぉーい!!ナギくーん!ノノちゃん!マイルくーん!!」
「「「?」」」
遠くから俺達の名前を呼ぶ声。振り返ると青い髪の女性が駆け寄ってくる…。
「あ!アリシアさん!!」
「やっほー!聞いてるよー?注目されてるみたいだね!噂のスーパールーキーくん!!」
アリシアさんがバシバシと背中を叩いてくる。
「そんなに広まってるんですか?…」
「そりゃまー、ギルド初クエストでファットグール・グランデを討伐した有望株だし?…あ!中級剣士にクラスアップしてるじゃん!おめでとう!」
そっちか…。広まっている噂というのが、それだけであるならいいが…ガザック達には俺のジョブの力を見せてしまっている。少なくともガザックのいる“
ガザック本人の恨みも買っているだろうし、気を付けておかないとな…。
「それに、これはあんまり知られてはいないだろうけど…あのガザックを倒したんだって?」
「!!」
「やっぱりホントなんだ!!すごーい!驚いちゃったよ!」
「どこでそのことを?…」
「これでも私のいるギルド、“革命のロザリオ”はクランツで1、2を争うギルドなんだよ?…その辺の冒険者より強力な情報網を持ってるんだよ」
これは想像以上に…。一体どこまで知られているのか…。
「で…どうやって倒したの?」
「!…あー、それは…」
「……なんてね、スキルやジョブの詮索はマナー違反だしねー!でも、やっぱり只者じゃなかったね、君達」
…良かった。強豪ギルドでも“ガザックを新人が倒した”という情報だけで、それ以上の情報は手に入れていないようだ…。だが、注目は集めてしまっている。いつまでも隠し通すことは難しいだろう…対策を考えなきゃな…。
「アリシアさんはここで何を?…」
「私はクエストの帰りだよ!…仲間はついでに薬草採集依頼も済ませて帰るってさ、真面目だよね~」
「あ、はは…」
「自由っすね…アリシア姉さん」
「まーねー!せっかくだし、一緒にクランツに帰ろうよ!色々話も聞きたいし!」
俺達はアリシアさんと共に、再びクランツに足を向けた。
♦
クランツへと戻り、中心街を歩く俺達。
「ニューワールドで気絶?…無いわけじゃないわよ、“
「マジックゼロ?…」
「そ!急激に大量のMPを消費してMPが枯渇すると、意識を失ったりすることがあるんだよ」
アリシアさんに俺がファットグールとの戦闘中に意識を失った話をすると、アリシアさんは答えた。Mゼロ…そんなものがあるのか、じゃああの時俺はそのMゼロの状態になって…
「…でもナギ君は純剣士系統のジョブだからMP消費するようなスキルは持ってないはずだよね?」
「っ!」
「んー?…」
アリシアさんがまじまじと俺の顔を覗き込む。う…ち、近い。
「なーんか怪しいなー…」
「あ、はは…」
「ま!詮索はやめにしよ!…あ、Mゼロ以外にもAPの枯渇によって起こる“
「アビリティゼロ…」
「そ!こっちは気を失うわけじゃないけど、体が鉛のように重たくなって、しばらく身動き取れなくなっちゃうから気を付けて!」
MゼロにAゼロ…話が聞けて良かった。今後の戦闘では気を付けないとな…。
「じゃ!私は一度ギルドの本部に戻るから!」
「あ、はい!ありがとうございました!」
「まったねー!」
アリシアさんは手を振り、去っていく。ホント、自由な人だなぁ…。
「…さてと、俺達はセンターギルドに戻ろう」
「おう!」
「ルルアたんが…待ってるっ」
俺達はアリシアさんの姿が見えなくなった後、センターギルドへと歩き出した。
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