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その頃、とある場所…
「…で?アナタ達は、その新人君にやられたわけぇ?決闘に負けて、装備も取られて、そんな姿で帰ってきたわけね?」
「す、すみませんレイラ様!あのガキ、妙な能力を使いまして!…」
高級ソファーに横たわるように座る、妖艶な雰囲気の女性。その眼前、床に正座して並ぶ二人の男。ガザックとブレングスである。
「妙な能力?…」
「はい!…下級剣士だったはずのガキが、急に魔導士に変身して…」
「!…へぇ、面白いじゃない。その
「ナギ…という奴です。前回は油断しましたが、次こそは!あのガキを捻り潰してやります!」
女性は怪しくも美しい笑みを浮かべ…
「あぁ…いいのよ、アナタ達にはもう興味ないから」
「そ、そんな!!…」
「お、お待ちくださいぃ、レイラ様ぁぁぁ!」
「ウチに弱いヤツは要らないの。アナタ達はギルドから追放~……カイル?」
「はい」
女性の
「片付けて、カイル」
「
「「!!!」」
カイルと呼ばれた男が、背中の大剣を抜き放つ。
「ま、待ってください!!俺達はまだやれます!!次こそは!…」
「黙れ、レイラ様のご意志だ…」
「そ…んな……」
大剣を握る男が、ガザックとブレングスに歩み寄る。
「「ぎゃあああああぁぁぁぁぁぁああああ!!」」
断末魔。
光となって消えゆく二人を、無言で見つめる男。ソファに座る女性は欠伸を一つ…
「…カイル?その“ナギ”っていう子を探し出して、調べなさい。興味があるわ…見つけたら視ミズクを使って私に映像を送って頂戴」
「畏まりました」
男は大剣を背中に戻し、部屋から出て行った。
♦
センターギルド
「夕方には帰ってきたいので、そのくらいの時間で稼げる依頼はないですか?」
「それでしたら…こちらはどうでしょう?」
俺はマイネさんにいくつか依頼を紹介してもらう。明日から長旅だ…なるべく準備資金を稼げるものが良いが…
「ハリスさん!ルルア、魔法使えるようになるかな!?」
「うむ!…ルルアなら今日にでも初級魔法を使えるようになるかもしれんぞ?」
「ほんとっ!?」
ルルアとハリスさんの会話が聞こえてくる。なんか意外とハリスさんもルルアにデレてきてないか?…祖父と孫みたいだ。
「…では、これでお願いします!」
俺は一枚の依頼書を選び、マイネさんに手渡す。これなら場所も遠くないし、報酬額も悪くない。丁度良さそうだ。
「分かりました。では、宜しくお願いしますね。お気を付けて」
「はい!」
俺、ノノ、マイルは踵を返す。
「ナギ、ノノ、マイル、行ってらっしゃい!…気を付けてね?ルルアも、頑張るね?」
「おぉー!!ルルアー!マイル兄ちゃんに任せとけ!!」
「ルルアたん…まじ天使…」
「行ってきます、ルルア。ではハリスさん、ルルアを宜しくお願いします」
「うむ」
俺達はクエスト目的地へ向け、センターギルドを後にした。…そんな俺達を店の隅から伺う視線があることに、俺達は気付かなかった。
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