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「…確認致しました。ありがとうございます」
冴木は契約書を回収し、俺達に控えを手渡す。店員がコーヒーを運んできて、立ち去る。…さて、ここからだ。
「すみません、一応規則でしたので…それではご質問にお答えいたしましょう」
「…あの世界にプレイヤーは現在どのくらい居るのですか?」
知りたいことは山ほどある…焦らず、1つずつ…。
「…このプロジェクトは日本だけで行われているわけではありません」
「「!!」」
「正確にはお伝え出来ませんが…1万人以上の方にプレイして頂いております」
予想はしていた答えだが……こんなに、あっさりと?…なんだ?“
「で…では、ニューワールドに初めてゲームモニターを動員したのは、いつですか?」
「10年前です」
「!!!」
「10年前というと…
「はい、世界を動かすほどのプロジェクトですから。……警戒していますね?私があまりにもあっさりと情報を明かすものですから、どう対応したものか計りかねている…といったところでしょうか?」
「!!…」
「では、これならばどうでしょう?…私は組織としての立場上まだあなた方に全てを伝えるわけにはいきません…しかし個人的には、私はあなた方に肩入れしたいと考えている。いえ…更なる協力を求めたいと考えている、と言った方が正しいかもしれませんね」
!…この男が何を考えているのかはまだ分からない……だが、この感じだと…核心をついてみるか。
「ニューワールドはドアーズが創り出したゲームではない…そうですね?」
「うぇ!?…そうなの!?じゃあ…ん?…どゆこと?」
俺の言葉にマイルが驚くが、今は構っていられない。俺は真っ直ぐに冴木の目を見つめる。
「…ご想像にお任せ致します。さて、そろそろ私は戻らねばなりません。申し訳ございませんが、これで失礼させていただきます」
冴木は表情一つ変えずに席を立つ。まだ聞きたいことはある…だが今はこれ以上の情報を冴木から引き出すことは出来ないだろう。だが……間違いない、少なくともニューワールドはドアーズが開発したものではない!!
「あの!…またいつかお話を伺うお時間を頂けますか?」
俺は去り行く冴木の背中に言葉を投げる。冴木は振り向き…
「はい、こちらとしてもそのつもりです。……いずれは全てをお話出来る時が来るでしょう。期待していますよ、“after school”の皆様。あぁ、くれぐれも外ではこの話はしないようお願いしますね」
そう言い残し、冴木は店から出ていった。俺達の間に長い沈黙だけが残された。
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