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『悪いようにはせん!お前さんらが依頼を受けている間、この子をワシに預けてくれんか!?』
俺は隣をちょこちょこと歩くルルアに目を向けながら、ハリスさんの言葉を思い出す。ルルアに魔法の才能があるのか…それも、ハリスさんが言うには“超一流”の魔導士になれるんだとか…。とはいえいきなり冒険者ってのはなー…。
『この子をクルド村まで送るというのなら、この子も魔法が使えた方が何かと良かろう…いや!良いに決まっとる!!』
ハリスさん…息まいてたなぁ。それほどの才能なのか…確かに、ルルアも自己防衛出来る手段はあった方が良い。俺達が無事に家に送り届けた後も、魔法の技術は無駄にはならないだろう。
「ナギ!これ美味いぞ!!」
マイルが何やら、黄色い果実をかじって言う。センターギルドを出た俺達は、クランツの中心街へ買い物に来ていた。早速、マイルは買い食いにいそしんでいるようだ。
「色々必要なものを買いに来たんだから、あんまり無駄遣いするなよー?」
「あいあーい!はい、ルルア!これ食ってみ?美味いぞー!」
「ルルアたん…こっちも…おいしい…よ?」
コイツらしっかりルルアにデレデレだな。おっと…ここか。俺はハリスさんに紹介してもらった武具屋を見つけて立ち止まる。中から、金属を叩く音が響いてくる。
「らっしゃい!何か御用かい!?」
中に入ると男が話しかけてきた。
「武具を見せてほしいのですが…あと、買取もして頂けると聞いたのですが…」
「おう!店の中の商品は好きに見てってくれ!買取品はそこのカウンターに出してくれ」
「わかりました」
店内は思った以上に広く、剣や斧、弓等の武器、盾や防具等数えきれない程の商品が展示されている。
「お!ノノ、“
「わかった直ぐ行く!…」
子供のようにはしゃぐノノとマイル。ルルアはきょろきょろと辺りを見渡しながら俺についてくる。
…とりあえず新しく手に入れたジョブ、【
その他、大剣と腕輪も手に入れたが、そちらはマイルとノノに渡した。ハイプレートメイルという重装備系の防具一式もマイルに渡そうとしたら、『あんな奴が着てた鎧とか要らねー、臭そう』とのことだったので、こちらは買い取ってもらうつもりだ。
「さて…弓はーっと……」
俺達は昼を過ぎるまで、中心街を周り、装備品や必要物資を買い揃え、昼食を取った。
♦
「マイル!右前方二体!ノノ!カバー頼む!!」
「「りょーかい!」」
俺は弓を引き絞り、スキルを発動。
【
マイルを背後から狙う、巨大なネズミのようなモンスター、“マッドラット”を閃光の如き矢で射抜く!!
「ビャッ!!」
マッドラットは消滅。更にマイルが前方から踊り出た二体のマッドラットを一閃!
「ちょろいちょろい!」
二体のマッドラットは消滅。リザルトが表示される。俺達は買い物を済ませた後、センターギルドで依頼を受注し、リンドの森へと来ていた。俺の新しいジョブの試運転も兼ねて、新しい立ち回りを色々と試しながら進行している。依頼内容は“マッドラットの巣の発見と殲滅”…マッドラットとの遭遇率が上がってきている。巣はこの近くにありそうだが…。それにしても…
「なー、ルルア大丈夫かなー?…」
「ルルアたん…心配」
マイルとノノが心配そうに声を上げる。そうだなー…結局ハリスさんに預けてきたんだが…
『ルルア、頑張るよ!お父さんとお母さんに会うために!ナギ達のお手伝いも出来るように、頑張るからね!……ちゃんと…帰ってきてね?』
俺達は健気なルルアの姿を思い出す。
「だはー!!!ルルア―!そっこーで魔物ぶっ飛ばして迎えに行くからなー!!」
「ルルアた~ん…ノノは帰るっ…帰るからねーっ!」
「…その為には、俺達が無事にクエスト達成しないといけないだろ?まずは依頼に集中しろよー」
「「はーい…」」
俺は苦笑いしながら、二人を見ていた。時刻は16時……暗くなる頃には帰ってやらないとな。俺は不安そうな顔で俺達を見送るルルアの姿を思い出していた。
♦
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