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ハリスさんは、転移者ストレンジャー現地人ドラフトの違いについて話してくれた。現地人にはジョブシステムというものはなく、生まれながらの才能や魔法に適性のあるものが冒険者になれるということ。現地人も俺達同様“ツールボックス”を開くことは出来るが、その性能は簡素なもので、自身のステータスの確認を行える程度で、“アイテムストレージ”や“メッセージ機能”などは無いのだという。


この世界に初めて転移者が現れたのが50年前?…これは“設定”なのか、それとも“事実”なのか…



「ところで、お前さん。その娘は奴隷として飼うつもりなのか?」


「え?…あ、いえ、そんなつもりはありません。親元に返してあげるつもりです…奴隷契約を破棄する方法があれば教えて欲しいのですが」


「…ふむ、奴隷契約の魔法なら、ワシが解いてやろう」


「「!!」」



ハリスさんがルルアに歩み寄り、手をかざす…



「ひっ!…」


「ルルア!?」



突然ルルアが立ち上がり、跳び退く。怯えるような目…



「どうしたんだ!?ルルア?…」


「“前のご主人様達”…ルルアにお仕置きするとき……


「…お前さん……まさか…!」



ハリスさんがルルアを見たまま固まっている。なんだ?…



「…安心せい。酷いことはせんよ、お嬢ちゃん」


「……っ」



ルルアが不安そうにこちらを見てくる。



「大丈夫だ、ルルア」


「…うん」


「すぐに終わる…」



ハリスさんの手から淡い翡翠色の光が放出される。ルルアはぎゅっと目を閉じている。



ガシャン――


「!!」



ルルアの首から鉄の首輪が外れ、落下する。俺はルルアのステータスを確認。…奴隷の表記が消えている!



「終わったぞい…」


「良かったな!ルルア!」


「これで…ルルアたん…自由」



ハリスさんがルルアをじっと見つめている。



「ルルアと言ったかの?…お前さん、ちょっとこれに触れてみてくれんか?」



そう言いながらハリスさんは、書類で埋もれたデスクを掻き分け、A4サイズ程度の黒い石板を持ってきた。



「なんですか?…これ」


「“能力板メディシオン”…現地人ドラフト才能ギフトや所持している固有スキルを鑑定するものだ…」



ルルアは警戒しつつ、そっと石板に触れる…。石板に何やら文字が浮かび上がる!



「…やはり!【魔力感知】のスキルを持っておるのか…!!!……魔法適正…オールS……!?」


「おいおいじーさん、なに1人でぶつぶつ言ってんだ?」


「この子は…天才じゃ!……獣人族の卓越した身体能力に加え、この魔法適正値…」



ハリスさんはふるふると震えている。俺達は首をかしげる…。



「ルルア!お前さん、冒険者になるつもりはないか!?」


「「「………え?」」」




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