89
ハリスさんは、
この世界に初めて転移者が現れたのが50年前?…これは“設定”なのか、それとも“事実”なのか…
「ところで、お前さん。その娘は奴隷として飼うつもりなのか?」
「え?…あ、いえ、そんなつもりはありません。親元に返してあげるつもりです…奴隷契約を破棄する方法があれば教えて欲しいのですが」
「…ふむ、奴隷契約の魔法なら、ワシが解いてやろう」
「「!!」」
ハリスさんがルルアに歩み寄り、手をかざす…
「ひっ!…」
「ルルア!?」
突然ルルアが立ち上がり、跳び退く。怯えるような目…
「どうしたんだ!?ルルア?…」
「“前のご主人様達”…ルルアにお仕置きするとき……それの匂い」
「…お前さん……まさか…!」
ハリスさんがルルアを見たまま固まっている。なんだ?…
「…安心せい。酷いことはせんよ、お嬢ちゃん」
「……っ」
ルルアが不安そうにこちらを見てくる。
「大丈夫だ、ルルア」
「…うん」
「すぐに終わる…」
ハリスさんの手から淡い翡翠色の光が放出される。ルルアはぎゅっと目を閉じている。
ガシャン――
「!!」
ルルアの首から鉄の首輪が外れ、落下する。俺はルルアのステータスを確認。…奴隷の表記が消えている!
「終わったぞい…」
「良かったな!ルルア!」
「これで…ルルアたん…自由」
ハリスさんがルルアをじっと見つめている。
「ルルアと言ったかの?…お前さん、ちょっとこれに触れてみてくれんか?」
そう言いながらハリスさんは、書類で埋もれたデスクを掻き分け、A4サイズ程度の黒い石板を持ってきた。
「なんですか?…これ」
「“
ルルアは警戒しつつ、そっと石板に触れる…。石板に何やら文字が浮かび上がる!
「…やはり!【魔力感知】のスキルを持っておるのか…!!!……魔法適正…オールS……!?」
「おいおいじーさん、なに1人でぶつぶつ言ってんだ?」
「この子は…天才じゃ!……獣人族の卓越した身体能力に加え、この魔法適正値…」
ハリスさんはふるふると震えている。俺達は首をかしげる…。
「ルルア!お前さん、冒険者になるつもりはないか!?」
「「「………え?」」」
♦
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます