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一方その頃、センターギルド地下、訓練用闘技場…
「集中するんじゃ…自分の中にある“
ワシ、ハリス=ウースラッドは目の前の獣人族の少女、ルルアへと語りかける。ルルアは目を閉じ、静かに呼吸を整えている。…獣人族で魔法の才覚があるだけでも極めて
獣人族は“差別”の対象となりやすい。この子もそうであったように、この世界の奴隷の半数近くは獣人族。獣人族そのものを毛嫌いする風潮のある国も少なくない…。この子が立派な魔導士となって、少しでも差別問題が解消されるような存在となってくれたら……ちと、気が早すぎるかのぉ…。
ワシは小さく
「体の中を流れる血液をイメージするのじゃ…魔素も血と同様、全身を巡っておる。お前さんの身体に流れるあたたかい…」「あ…」
「!?」
「あったよ…あったかくて、ふわふわしたもの…ルルアの中に流れてる」
ルルアは目を閉じたまま、小さく微笑む。
なんと!これほど早く魔素の流れを見つけるか!……これも【魔力感知】の恩恵か。
これは本当に…
「よ、よし…次は魔素を魔力へと変える。お前さんに流れているその魔素を、手に集めるイメージじゃ……手に意識を集中し、魔素を集め、圧縮するのじゃ」
「あっしゅく?…」
「あー…集めて、練り固める…と言うのかの?…」
「!…わかったよ!粘土みたいにするんだね?」
「粘土?……なっ!!!」
ルルアの右手が淡い光を放ち始める!
こ…コヤツ!もう魔力を生成しおった!!しかも可視化出来るほどの魔力を練り上げておる…これならば初級魔法なら発動出来るレベルじゃ!
「す、凄いぞルルア!…よし、そのままでは魔力が無駄に放出されてしまう。手に集めた魔力を手の中に留めるようイメージせい…」
「うん…」
ルルアの手から光が消える。ありえん…魔素からの魔力変換、それのコントロールまでをこんな短時間で…。
「ルルアの手…あったかい」
「それが、魔力じゃ…その感覚を忘れるでないぞ?」
「うん!」
これはもしかすると、すぐにマイネと肩を並べる魔導士になるやもしれんのぉ…
「よし、少し休憩じゃ…楽にしてええぞ」
「ふーっ!…」
これは…とんでもない“原石”を見つけてしまったかもしれんぞ……
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リンドの森…
「ギュルルルルルルルル…」
「…コイツが、ラットキング。この巣穴のボスかー?」
「そう…みたいだな」
俺達はリンドの森の探索を続け、山肌に開いた洞窟を発見。その中で、この馬鹿デカいネズミを発見したわけだが…。
「普通のマッドラットの5倍はあるかな?」
「ファットグールに…比べれば…かわいいもん…」
「レベル32…か」
「そんじゃ…」
俺達は向かい合う…。
「「「じゃん!けん!ポイ!!」」」
「イエーイ!オレの勝ちー!!」
「ち…またしても…」
「無駄にじゃんけん強いよな、マイル」
じゃんけんに勝利したマイルが意気揚々とラットキングの前に進む。
「よーし、お前はオレの獲物だー!お前をぶっ飛ばして、ルルアに『マイル凄いっ!カッコいいっ!』って言ってもらうぜぇ!!」
「「はいはい」」
「ザコは任せたぜ!二人共!!」
マイルがラットキングに突っ込んでいく。俺とノノは取り巻きのマッドラットに標的を定める。
「【
マイルがスキルを発動した。
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