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センターギルド。


「……」



カウンター内の椅子に腰掛け、店内を伺う男。ハリス=ウースラッド。



「…マイネ」


「はい?」


「あの新人達はまだ戻って来んのか?…」


「あー!!やっぱり気にしてるー!ですよね?私もあの子達ちょっと気に入ってるんです。特にあのナギって子、カワイイ顔してるのに眼差しはどこか鋭くて…」


「やかましい!あやつらが来たら教えろ!!」


「はいはい」



ハリスはふっと溜息を吐く。そんなハリスを見てマイネはくすくすと笑う。そんな時、店の扉が開く音がして…



「あ!帰ってきましたよ!ハリスさん!!」


「……うむ」



ハリスが待ちかねていた、三人の新人冒険者が入ってきた。






「依頼、完了しました」



俺達はセンターギルドのカウンターに座るハリスさんの前に行き、声を掛ける。



「うむ、確認は済んでおる。報酬は…」

「ずっと待ってたんですよ、ハリスさん」


「やかましい!」



ハリスの横でくすくすと笑う女性。俺はステータスを確認。マイネ=リィンカート…さんか。緑の長い髪を後ろでまとめ、すらりと背の高く、知的な印象を与える美人な女性。【識別】スキルのレベルを上げたが、この人もレベルすら閲覧できない…センターギルド関係者は高い【隠蔽】スキルを所持しているのだろうか…。



「めっちゃ綺麗な人だな、ナギ…胸も大きいし…」



マイルが嬉しそうに耳打ちしてくる。アリシアさんに会った時も同じようなこと言ってたよな、お前。



「む…胸……」



…気にするな、ノノ。お前にはまだ未来がある…。



「マイネ!報酬を…」


「あ、はい…失礼しました」



マイネさんは笑いながら羊皮紙をカウンターに置く。



「報酬受け取りの“魔印”をお願いします」


「魔印?…」


「ここに指を押し当てて頂ければ大丈夫ですよ!報酬はパーティの皆さんに均等割りでよろしいですね?」


「あ、はい」



俺は言われた通り、羊皮紙の隅に親指を押し当てる。指先が淡く光り、羊皮紙に俺の指の型が残された。



「おぉ…」


ピコン―――



――――――――――――――――

      クエスト完了

   報酬を受け取りました

     ・5000G

――――――――――――――――



「あれ?報酬は6000G…1人2000Gじゃ…?」


「皆さんが倒したのは、ファットグール・。ファットグールの上位種です!追加報酬込みで総額15000G。新米の冒険者が倒せるような相手ではないんですよ?ホントに凄い!」



そうだったのか!?…まぁ、お陰で危うく死にかけたわけだけど……。



「やったな!ナギ!!」


「しばらく…寝泊りに…困らない」


「ところで…」



ハリスさんが咳払いを一つ。話を切り替える。



「お前達、明日の朝また此処に来い。少し話したいことがある…」



ハリスさんがじっと俺を見つめてくる。…丁度いい、俺もがある。



「…わかりました」


「うむ…今日は疲れただろう。早めに休むんだな……して、その子は?」



俺の足元に立っている小さな獣人族の少女。彼女に目を向け、ハリスが言う。



「あ……」



俺の後ろへと隠れる少女。



「あー、まぁ、なんというか…成り行きで」


「……まぁよい。今日のことは明日、詳しく聞かせてもらおう。ご苦労…だったな」


「…はい、お疲れさまでした」



俺達はハリスさん達に別れを告げ、店から出ていく。





「……マイネ、アヤツが連れている獣人族の娘…」


「はい…昨夜、“鋳薔薇の女王クイーンローズ”のガザックが連れていた奴隷かと……」


「まさか…あの新人…」



ハリス達は俺達の背中を見つめていた。



今日の出来事が、大きな波紋を呼ぶことになると、俺達はまだ知らなかった。



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