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“詳細確認”?…とにかく試してみるか…


俺はガザックへと意識を集中させる。



――――――――――――――――

    ガザック  Lv46

  [狂戦士バーサーカー]   Bランク

  HP:1749/1749

  ギルド:??????

――――――――――――――――



!……ジョブが見えるようになった!HPも数値化されている!…いいぞ。次は…詳細確認!



――――――――――――――――――――

  <狂戦士>  Bランク

様々な重量級武器を使いこなす。

怒りを力に替えて戦う、血に飢えた戦士。


適正武器種:大剣 戦槌 戦斧 

――――――――――――――――――――


!…ジョブの詳細か…適正武器種……これはかなり有益な情報だ。ジョブの説明文から見ても、ガザックがハンマー以外の武器に切り替えてくる可能性は大いにある。警戒しておいた方が良さそうだ…装備の変更は、通常ツールボックスを操作する必要があり、切迫した戦闘状態であれば切り替える暇はないかもしれないが、あるいは……


俺は思考をまとめつつ、更に詳細ステータスを見ていく。



――――――――――――――

  HP:1749/1749

  AP:???/??? 

  MP:???/???

  筋力:????

  魔力:????

敏捷性:????

物理耐性:????

魔法耐性:????

  運 :????

――――――――――――――


相手のパラメーターも見れるのか!?…現状HP以外は認識出来ないが…


アリシアさんが【識別】スキルを高いレベルまで上げているプレイヤーは少ないと言っていたが…確かに戦闘中に詳細画面なんか開いて数値を見たり、文章読んだりするようなプレイヤーはそういないだろうし、軽視されているスキルなのかもな。


だがこの識別スキル…やはり俺にとってはかなり有益な“武器”となるかも……。



「口だけは一丁前でも…俺達には勝てねぇんだよ!!ゴミが!!」



ガザックの怒声が届く。おっと、マイル達の戦闘が再開されるようだ…。ここから3分間、全力で情報をかき集めろ!!






「………」



俺の視界の先では、ガザックとマイル達が激しく戦いの火花を散らしている。俺はじっと動かず、食い入るようにその戦いを見つめる。残り…1分。


ガザックの攻撃パターン…スキルのクールタイム…攻撃範囲…適正武器種…


俺はツールボックスを開き、次々とウィンドウを開いていく。


…手持ちのアイテム一覧…ステータス…レベル差…ダメージの予測計算…自己スキルのクールタイム…戦闘前にクリアすべき必須条件…敵の行動予測の確認…必要AP及びMP…装備の性能……“決闘システム”…


俺の視界は中央にガザック達を捉えたまま、その他は無数のウィンドウで埋め尽くされていく…。俺の身体は静止し、脳だけがフル稼働していく……



「タスク………」



大量の情報をまとめ上げ、俺は結論にたどり着く……



「…くそっ!!!」



俺は拳を木に打ち付ける…

“決め手”が足りない!!どう計算しても、最後に押し負ける!!


いや…落ち着け、このレベル差…正確な数値はわからないが、ほぼ全てのステータスが俺達より上であろう相手。ガザックがまだ見せていないスキルや、武器の切り替えの可能性まで加味……APやMPの総量では確実に劣る…クールタイムの消化までを考えて……ダメだ…勝ち筋が……ない。



『少しだけ、力を開放してやろう…これからも期待している、少年』


!?



不意に頭に浮かんだ言葉…。落ち着きのある男性の声…これ…どこで聞いたんだっけ…?力を…解放?



「……っ!!」



殆ど感覚的に俺は自身のスキルリストを開き、拡大。スクロールしながら目を通していく…


下級剣士のスキル…下級魔導士のスキル…下級神官……


そして、俺の目は1つのスキルに止まる。



「え……?」



なんだ…このスキルは?……いつの間に習得した?…そうか、ファットグール戦の後気絶していたから、見落としていたのか?……それにしても、このスキル…



「!!」



俺は目を閉じ、脳内で中断していた計算を再開。物凄い早さで、計画プランの修正と改変が行われていく……







「…タスク……確定」





俺は目を開いた。




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