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「【粉砕破打メテオスマッシュ】!!!」


「なっ!」



ガザックの懐に飛び込んだ俺は、ここぞとばかりに斬りかかるが、反撃を受け、大きく体勢を崩してしまう!



「っ!!!」



まるでその瞬間を待っていたかのように、ガザックがハンマーを振り上げる!!



「【巨人の一撃タイタンショック】うぅぅぅ!!!」



ガザックが狂気染みた笑みを浮かべながらハンマーを振り下ろす!!……






ほい、“【瞬進斬しゅんしんぎり】”っと。



俺は、後方へ高速で跳び去る。ガザックが強烈な一撃を放つが、空振りに終わる…




「……は?…え?…」



誰もいない、自分が打ち付けた地面を見て困惑するガザック…隙だらけだ!



「【二重斬ダブルスラッシュ】!!」


「ぐわあああああぁぁぁ!!!!」



俺は一気に駆け寄り、再び距離を詰め、高速の二連撃を叩き込んだ!!!

悶え苦しむガザック…



「やっぱり馬鹿だな…お前」


「ど…どういうことだあぁぁあ!お前のそのスキルはまだ発動出来ないはず…」


「あー…それ、嘘だから」


「なにぃ!?」



動揺を隠せないガザック。それもそうだよな、勝利を確信した一撃…それを覆されての反撃は、堪えるだろう。



「俺の【瞬進斬しゅんしんぎり】のクールタイム、ホントは90秒じゃなくて、80秒だから」


「なんだとぉぉぉおお!?いや、だがお前は俺の【巨人の一撃タイタンショック】のクールタイムは90秒だと思っていたはず!!反応出来るわけが…」


「いや、だからー…それも嘘なんだって」


「はああぁ!?」


「お前の【巨人の一撃】のクールタイムが80秒なのも、最初から分かってた。でも俺は嘘を吐いた…俺のスキルのクールタイムが90秒だって嘘と、お前のスキルのクールタイムが90秒だっていう二重の嘘をな…」


「は?…ど…なに……?」



ガザックは理解が追い付いていない様子。物分かり悪いなー、コイツ。



「お前は俺が勘違いしていると気づき…正確に言うなら、俺がそう思わせたんだが…その勘違いを利用しようと考えた。俺が誤った発言をした際に、反応も訂正もしてこなかった時点で、お前がことは、俺には見え透いていたんだよ…」


「な…な…」


「…となれば、お前は必ず【巨人の一撃タイタンショック】を“決め手”に使うよな?それが分かっていれば、後はタイミングを予測すれば良いだけ…なんか下手な芝居してたみたいだけど、トドメだー!…とか思った?」


「この俺が、騙された?…こんなガキに……二度も?…ふざけるなああああ!!!」



さてと…ガザックのHPは残り半分程度、ガザックを倒すための“種”は後2つ…

詰めに行くか。



「そろそろ終わりにしてやるよ、ガザック。…お前じゃ俺には勝てないよ」


「調子に乗るなああああぁあぁああ!!!」


「!!!」



ガザックが急接近!!



「【緊急換装クイックチェンジ】!!」



ガザックの持っていた戦槌ハンマーが光となって消失し、代わりにガザックの手に戦斧バトルアックスが握られる!!高速の装備変更スキル!?


もはや“半分”勘だった。俺は反射的に横へと跳んだ!



「【断裁飛刃だんさいひじん】!!!」


「っ!!!」



ガザックが斧を振り下ろす!

斧から光の斬撃が放たれ、一直線に飛んでいく!!



「なんじゃありゃ!!ガザックの武器が代わったぞ!!?」



マイルの驚く声が聞こえる。…危なかった!横にではなく、後方に逃げていたら、あの斬撃の餌食だった。ガザックの斬撃が地面に残した深い溝を見て、ひやりとしたものを感じる。



「テメェだけは許さねぇ…本気で殺す!俺の奴隷にして、廃人になるまでいたぶってやる!!」



遂に…一応警戒しておいて良かったな。


さて、ガザックの武器が代わり、ここからは“未知数”…となれば……



「来い!!終わらせるだと!?この死闘はお前の死で幕引きだあ!!!」


「……っ!!【剣撃強化ソード・レイズ】!!」



俺とガザックが同時に駆け出し、急接近!

俺はガザックの振り下ろした斧を躱し、側面から斬り付け…!?



「【旋回乱斧せんかいらんぶ】!!」


「ぐああぁぁあっ!!」



ガザックの身体が高速で回転し、斬撃の竜巻が発生!!

俺はガザックのスキルでのカウンターを受け、俺は弾き飛ばされる!


HPが半分以上持っていかれた!!そして…



「っっっ!!…当然の如く、苦痛薬仕込み…かよ……」



俺は意識を持っていかれそうな程の激痛に耐えながら、ガザックを見据える…。

ガザックの装備が変更され、使用してくるスキルも変化した……



「今更泣いて詫びても遅ぇぞ……バラバラにしてやる!!!」


「………」



俺は静かに立ち上がる。



「………ふーっ」



さあ、もう一つの“種”のお披露目だ…

……“未知”には“未知”をぶつける!!



「【異能転化オーバーライト】…」



俺は小さく唱えた。

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