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「回復しろ…」


「そ、そろそろMPが…」


「MPポーション使えぇ!!」


「は、はいいぃ!!」



俺達は攻撃されては回復されてを繰り返され、痛みと絶望感に耐えることしかできずにいた…。


取り巻きの男がMPポーションを飲み、再び俺達に回復魔法をかける。



「ちっ!…苦痛薬が打撃武器に使えないのが残念だ」



今日一日戦い続けて溜まった疲労と、ブレングスの矢から受けた痛みで身体が悲鳴を上げている…なかなか立ち上がることが出来ない……



「だが安心しろ、お前らが動けなくなったところで最高の痛みを与えてやる…四肢を落としてやる…泣き叫ぶまで切り刻んでやる……おっと、もう動けなかったかー!?ハッハッハ!!!」



ガザックがゆっくりと近づく…。負ける…のか?俺達は…こんな奴に…


ていうか、こいつらに回復されてなければとっくにHPは尽きてる…既に負けたようなもんか……もう……負け……



「……なんてな」


「あぁ!?」



俺達はフラフラと立ち上がる。



「おおぉぉぉ、まだ立つかあぁぁ!…」


「…良い度胸じゃねぇか」



ガザックとブレングスが武器を構える。

…手加減されたから負け?冗談じゃない。俺達のHPの回復はコイツらが自発的にやったこと。そんなもの…お前らの勝手に犯した“ナメた行為プレイミス”だ!!



「ナギ…このままやり合って、勝てる可能性って何パー?…」



マイルが小声で尋ねてくる。何パーセントって言われても…



「……30パーセント」


「ほん…とに?……」


「…ごめん、嘘。5…いや…2パーセント、かな?」


「そっか…」



ノノとマイルがニヤリと笑う。



「それじゃぁ…“コレ”だ!…」


「!!」


「レッツ…DA…」



マイルが指を立てて、見せてくる。



「…本気か?大丈夫、なのか?……」


「ナメんなよ?…これでも、現実世界リアルじゃ“狂犬”って呼ばれてんだぜ?オレ」


「……ハハっ!…いつの話してんだよ」


「行って…ナギ…ここはノノ達が…!……ここはノノ達に任せて先に行け!」



言い直さなくても、カッコいいよ、ノノさん…。

俺はふっと小さく笑う。…わかったよ。責任重大だなコリャ。



「なあぁぁにゴチャゴチャ言ってんだぁぁぁ?」



俺達は目で合図を送り合い…



「あぁあ!?」



俺は近くに見える林に向かって全力疾走!!



「あぁぁ!?逃げる気かぁぁ!?テメェ!!」


「ほっとけ!!…Eランクなんぞに用はねぇ……それで?…お前達は逃げねぇのか?」



ノノとマイルがその場に残り、戦闘態勢。




俺はそのまま、姿を消した。



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