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俺達はリンドの森を抜け、クランツへとその足を向けた。小一時間もあれば、クランツに到着するはずだが…。



「へっへっへ…」

「よう、嬢ちゃんたち…」



来たか…。フードを深く被った男達が…5人!思ったより…



「…何の用ですか?」


「いやー…そこの嬢ちゃん、俺達のギルドに入らないかい?」



男達はノノに視線を向けてニヤニヤと笑っている。



「お断り…」


「あーそうかーっ!残念、それじゃあ…皆殺しで!!」



男達がローブを脱ぎ捨て、襲い掛かってきた!!


俺は後退しつつ、男達のステータスを確認!

レベルはどいつも30前半、他の情報は…見れないか。まだ【識別】スキルのレベルが足りないようだ。


見るからにガラの悪い人達だなー。それにしても…



「はぁー、アンタ達さぁー…」


「ノノ達のこと…」


「「「ナメすぎだ!!!」」」



俺達は即座に迎撃態勢!

ステータス隠したところで、ある程度は推察できる!装備と敵の陣形から察するに…前衛職が3人、魔法職1人、一番後ろの奴は後方支援と遠距離攻撃を兼ねたサポート役ってとこか?


俺はここまでをコンマ数秒で考察。俺達after schoolが最も得意とするのはPvP…つまり、対人間プレイヤー戦。初見のゲームならまだしも、既にほぼ丸二日、ニューワールドこのゲーム没頭ドハマリしてる俺達相手に…



「レベル30そこらが5人?…」



どんなゲームの世界でも、その程度のレベル差と人数差なんざ…


いくらでも捻じ伏せてきた!!!



「うわ!!」

「ぐはっ!!」

「がぁっ!!」



俺達はそれぞれ【剣撃強化ソード・レイズ】、【人形劇ドールアクター】、【炎剣えんけん】を発動させ、突進してきた三人の男にカウンターの一撃をお見舞いした!



「俺達とやりあいたいなら…」


「そんな戦力じゃ…足りない…」


「もっとレベル上げて出直してこんかい!シャバゾウがあああぁぁぁ!!!」



俺達の前に三人の男達が倒れ込む。



「な…なんだ、こいつら!?」


「何されたかも分からなかったぞ…」


「俺達の方がパラメーターは上のはずなのに…」



男達は起き上がり、5人まとめて後ずさる…。



「プレイヤースキルって…知ってる?…」


「相手が人間だからこそ、読めることもあるんだよ」


「お前ら程度の奴らより、初見で情報もなくて、何考えてるかもわからん格上モンスターの方が…何倍も手強くて、!!!」



…あー、うん。それはファットグールの話ね。



「く…調子にのるなあぁぁ!!!」



男達は態勢を立て直し、再び戦闘態勢に…



「あ…まだ…やる気…」


「…みたいだな」


「いいぜ、かかって来いよ!マイル様の名前を忘れられなくしてやる…」



俺達は臨戦態勢に入った。




センターギルドにて…



「ハリスさん!ハリスさん!」


「なんだ!?今日は騒がしいな!マイネ!」


「リンドの森のファットグール・グランデ…討伐…されました」


「!!!……ほう」



ハリスの眼鏡の奥の瞳が鋭い光を帯びる。



「これはなかなか…面白い拾いもんをしたかもしれんな…して、アヤツラは?…」


「…もう、戻ってきても良い頃なんですけどねぇ?…」



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