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「マイル!!」
俺はよろよろと苦しそうに歩くマイルに肩を貸し、後退する。その間、ノノがミハエルでファットグールに連続で攻撃を仕掛け、足止めする。
「大丈夫かマイル!?…【ポイズンキュア】!」
「うぅ…」
ファットグールの攻撃の間合いから逃れた俺は、下級神官の解毒魔法を発動。俺の両手から柔らかい光が放出され、マイルを包み込む。血の気が引いていたマイルの表情が徐々に穏やかさを取り戻していく…。
「サンキュー、助かったぜ…」
マイルのステータスから猛毒の表記は消えたが、HPが半分近く削られてしまっている。恐ろしいな…毒攻撃。
「待てマイル…HPを回復する…」
「いや、大丈夫だ!今回の作戦には少しでもMPが必要だろ?…心配すんな、もうヘマはしねぇ!」
マイルは立ち上がり、大剣を構える。…わかったよ、作戦続行だ。
「んじゃ、頼むぞナギ。これでもオレ達は信じてるんだぜ?ナギのこと…」
「ナギがいれば…負けない…あのデッカイのにも…“先輩達”にも」
「ナギがSランクだからじゃないぜ?例えEランクでもウチのボスはお前だ」
ノノとマイルがニッと笑う。これは…応えるしかないよなぁ。
「オッケー…」
俺はふーっと息を吐きだし…。
「アイツをポイントまで誘導するぞ!常にブレスを警戒、一定の間隔を保ったまま“ちょっかい”かけろ!」
「「了解!!」」
グールが山をなしていた場所の周辺約15mは草木の一本に至るまで、枯れはて、朽ちてしまっているが…。その更に外側には、枯れているのか葉は落ちてしまっているが、幹の太い大木が形を残し、並び立っている。
「おらおらこっちだぁ!!」
俺達を追って、ファットグールは腐敗地帯から外に向けて歩き出す。あと、5m…もう少し!…ここまで来い!
「今だ!!」
「【
「【フレイムスロウアー】!!」
「【
俺達は三者三様のスキルを発動。俺は掌からファットグールに向けて炎を噴射!
対してノノとマイルの狙いはファットグール、ではなく…枯れた大木の幹!
俺達を追ってきていたときに、ファットグールは木々を薙ぎ倒しながら進んでいた。限りなく現実に近いこの世界…お前に出来て、俺達に出来ない道理は無いだろう!
ノノとマイルがスキルで朽ちかけた大木の幹をへし折った!折れた大木はファットグールに向かって倒れる!
「グオオオオオッ!!!」
炎を受けながら、藻掻くファットグールに折れた2本の大木がのしかかる!ファットグールは重さに耐えかね、膝を折る。
が、直ぐにファットグールは両腕で大木を押し返し始める!…このくらいで止まらないのは…
「想定済みだよ!ノノぉ!!」
「【
ノノの指から魔法の糸が伸び、ファットグールの自由を奪う!!
再び大木の重みに押され、ファットグールの巨体が沈む!
その間も俺は炎を敵に浴びせ続ける…MPがどんどん減っていく!これで落とせるか?…
「もう…もたないっ…」
「ウガア゛アァァアア!!!」
ファットグールが渾身の力を発揮し、炎に包まれながらもノノの糸を引きちぎり、大木を払いのけた!!
「まだ…ダメ!【
ファットグール頭上に巨大鉄人形が落下する!!
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