55




「…いけ、マイル!」


「あらよっと!」



フラフラと歩いていたグールにマイルが炎を灯した大剣で奇襲をかける!



「ア゛ア゛アァァァァ…」


「【ファイヤーボール】!【フレアボム】!」



マイルが攻撃を仕掛けたグールの後方にいた、もう一体のグールに炎魔法の二連撃。二体のグールは消滅。リザルトが表示される。



「ふーっ…けっこー減らしたんじゃないか?」


「そうだな…一度ファットグールのいた場所に戻ってみるか。…ん?ドロップアイテム屍人の生き血?…生きてるのか死んでるのか、どっちかにしろよ…」



俺達を追って来たグールの群れは、俺達の姿を見失い、かなり広範囲にバラけてくれたようだ。そのお陰で俺達は、一体一体着実にその数を減らすことが出来ていた。問題はファットグール…レベルもかなり高かったが、あの化け物をどう対処するか…。



「まだ取り巻きのグールも残っているはずだ…警戒しながらいくぞ」


「「了解」」



俺達は再び森の奥へと向かった。


その俺達の背中を木の上から見つめる一羽のフクロウ。その姿に俺達は気付かなかった。





その頃、センターギルドにて…



「ハリスさん!!」


「なんだ?…急に大声を出すな、マイネ」


「大変です!新人君達に付けていた“ミズク”から送られてきた映像が!…」


「どうした?」


「リンドの森のファットグールが…グランデに進化しています!」


「なんじゃと!?」


「まずいですよ!駆け出しの冒険者に任せるような相手ではありません!」


「……まぁ、任せてしまったものは仕方ない」


「ハリスさん!!」


「はぁ、騒ぐな…幸いにも、あやつ達は転移者ストレンジャー。そう焦る必要もあるまい…」


「もう!またそんなこと言って!!」


「あやつ達が失敗した時に備えて、後釜の部隊を選別しておけ…」


「そんな悠長な!…はぁ、わかりましたよ!ハリスさんの人でなしっ!!」


「む…人でなし?…」



ハリス=ウースラッドは溜息を一つ吐くと、ポリポリと頭を掻いた。



「期待…しとるのかもしれんのぉ……いや、それはないの」




ハリスは冷めてしまったコーヒーを飲み干した。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る