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昨日ゴブリンやオーガを狩った平原から、まっすぐ西へ進んだ先に位置するリンドの森。クランツから歩いて一時間程で目的地の森が見えてきた。
「あれがリンドの森か!…っと、ナギ…」
「あぁ、つけられてるな…」
俺達の後方。フードを深く被った二人の男。クランツでアリシアさんと会った時にいた連中で間違いないだろう。ノノとマイルが【隠蔽】のスキルを手に入れる前には目を付けられていた事になるから、いつかは来ると思っていたが…。プレイヤーキラー…まだ関わり合いになりたくはないな。
「走るぞ…」
俺達は一斉に走り出しリンドの森に突入した。
♦
「……撒いたか?」
俺達は生い茂る木々の陰に身を潜めていた。追手の気配はない…。
「ふー…」
俺達は警戒を解き、周囲を観察する。綺麗な森だ…。あたり一面深緑の草木…点々と野生する色とりどりの花々…向こうには綺麗な水の流れる小川が見える。木々の隙間から陽光が差し込み、神秘的ともいえる雰囲気を醸し出している。ただ一点…この臭いを除いては…。
「なんの臭いだ?…」
どこからか微かに漂ってくる腐乱臭のような刺激臭。これがハリスさんの言っていた瘴気ってやつなのか?
「やな匂い…」
「とにかく進んでみるか…」
俺達は森の奥へと歩き出した。
♦
「うー…臭い…」
森の奥に進むほど、刺激臭は強くなっていった。森の中を歩くこと20分。マイルが異変を察知する。
「待て…何かいる…」
マイルが睨む茂みに意識を向ける。ガサガサと茂みが揺れ、姿を現したのは…
「ヴゥゥゥウウ…」
「あれが、アンデットか…」
――――――――――――――――――
ロット・グール Lv19
HP 920/920
弱点属性:火 聖
攻撃:噛みつき(毒) 斬撃(爪、毒)
魔法:なし
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茂みから二体の腐敗した人間型のアンデット、ロット・グールが現れた。不気味な声を発しながら、のろのろと近づいてくる。さてさて、初見の敵さんは慎重に…
「気をつけろ!毒攻撃をしてくるみたいだ…マイル!接近し過ぎず、牽制。俺が魔法で攻撃する!ノノはスキル温存、他にも敵がいないか周囲の警戒を頼む!」
「「了解!」」
グールに近い方からマイル、俺、ノノの順に縦一列に展開。それぞれ臨戦態勢に入る。
「おらおらぁ!!かかってこい!アンデット共!!」
「ウウゥゥゥゥ…」
「…返事がない、ただの屍のようだな」
「マイル、いいから、そういうの…【
マイルが大剣をぶんぶんと振り回しながら、グールを牽制。俺は下級魔導士にスタイルチェンジ。弱点は火と聖…聖魔法なんてものは俺のスキルにはないから…先ずは小手調べに。
「【ファイヤーボール】!」
火属性魔法で最もコストの低いファイヤーボールを手前のグールに放つ!
「うガァァアアアアア!!」
グールが火に包まれ、滅茶苦茶に手を振り回しながらマイルに突進していく!
「おわっ!急に速っ!!」
不意を突かれたマイルはヘッドスライディングの要領で横にダイブして回避。…油断してるからだ…って、こっち来た!
「【
「!!」
俺の背後から光の糸が伸び、グールに巻き付き動きを止める。振り返ると、ノノの指先から糸が伸びていた。ノノの新しいスキルか!…ほんとハイスペックなジョブなことで…。
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