依頼<クエスト>

49


オーガを倒した後、俺達はしばらく平原のモンスター達を相手に戦闘を繰り返した。レベルは上がらなかったが、俺のジョブの能力を加味した上での連携確認を取ることが出来た。



「…当面はレベル上げと資金調達がメインになる。明日からセンターギルドで依頼を受けながら、効率よくレベル上げとお金を稼げる方法を探していこう」


「「おっけー」」



宿屋に戻ってきた俺達は、部屋で今後の方針を固めた。時刻は深夜3時を回ろうとしていた。



「よし、じゃあそういうことで…もう遅いし、休もうか」


「ふわぁー…うん、お休み…二人とも」



ノノは欠伸を一つこぼすと、自分の部屋へと戻っていった。俺とマイルもシャワーを浴び、ベッドに入ると、あっという間に眠りの中へと落ちていった。






「ん…」



窓から差し込んでくる朝日に照らされ、俺は目を覚ました。隣のベッドではマイルが寝息を立てている。俺はツールボックスを開いて時刻を確認。午前8時47分…本当に丸三日間はニューワールドの世界にいたままになるようだな。


コンコン―――


「?」



部屋のドアがノックされる。



「おはよー!よく眠れた?…あれ?もしかしてまだ寝てる?」



ノックに続いて聞こえてきたのは、この宿の従業員、ミアの元気な声だった。



「あ、起きてますよ!…どうかしましたか?」


「朝食はどうするー?食べるなら準備しておくけど…」


「それじゃあお願いします」


「はいはーい!」



俺はマイルを起こし、身支度を整える。マイルも眠そうに目を擦りながら、歯を磨いている。それにしても…エキセントリックな寝グセだな、マイル。





部屋を出て、一階の食堂へ降りていくと既にノノはテーブルについていた。



「おはよ…」


「「おはよー」」



俺とマイルも挨拶を返しつつ席につく。朝の冷たい空気の中に、コーヒーのいい匂いが漂ってくる。



「お待たせ―!」



ミアが朝食を運んでくる。こんがり焼かれたトーストに、ベーコンとスクランブルエッグ…そして野菜のスープ。シンプルだが、朝はこういうのが良い。続けてミアがコーヒーを運んできた。



「ぬ…こ、コーヒーか…」



だから砂糖とミルク使えよ、マイル。



「や…大人な男としては、ブラックくらい飲めなければ…」



俺はマイルがぶつぶつと独り言を言っているのを聞きながら、トーストを齧った。



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