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時を現在に戻し…



「【異能転化オーバーライト】…“下級魔導士”」



俺は光に包まれ、ジョブと装備が切り替わる。装備していた黒羽の剣は解除され、代わりに群青色の革手袋、“魔法師の手袋グローブ”が両手に装備される。


魔法師の手袋…この世界に来て、マイルと合流した時に武具屋で購入した装備。魔導士等の魔法職が装備可能な武器で、魔法攻撃力を高める。物理攻撃力もある杖と悩んだが、俺の戦闘スタイル上、魔法攻撃に特化した手袋を選択した。


下級魔導士へとスタイルチェンジした俺は、オーガに距離を詰められる前にスキルを発動。



「【ファイヤーボール】!」



俺は掌をオーガに向ける。手の前に魔法陣が出現し、そこからサッカーボール大の火球が放たれる!


火球はオーガの顔面を直撃!オーガの動きが止まる。




「あれが…【不限の器】のスタイルチェンジ能力…」


「やっぱおかしいと思ったんだよなー!ナギが下級剣士なんて」



ノノとマイルは俺から距離を取って見守っている。


…畳みかける!



「【アイシクル】!【フレアボム】!」



俺は両手で二つのスキルを同時に発動。氷系魔法のアイシクルと、さっき習得したばかりのファイヤーボールの上位魔法フレアボム…弱点属性は見えてる!!


俺の掌から氷の槍と火球が放たれる!氷の槍はオーガの足を貫き、火球はオーガに着弾すると小さな爆発を起こした!



「グガギャアアァ!!」



オーガは溜まらず地に膝を着ける。敵の残りHPは僅か…



異能転化オーバーライト



俺は再び下級剣士にスタイルチェンジ。黒羽の剣を手に、駆ける…



瞬進斬しゅんしんぎり】!!



俺は猛スピードでオーガに接近。すれ違い様にオーガの首を跳ね飛ばした!



「ガ…」


「………」



オーガは光となって消滅。リザルトが表示された。



――――――――――――――――――――――――――――

        RESULT

レベルアップしました

  Lv23  →  Lv24

 スキルポイントを4獲得しました


【下級魔導士】の熟練度が上がり、スキルを習得しました

 ・【フロストバレット】

  氷の弾丸を複数発放つ。威力は弱いが着弾部分を氷漬

  けにし、敵の自由を奪う効果がある。

    消費MP6  クールタイム 30秒

 

――――――――――――――――――――――――――――



お、やっとレベルが上がったな…。下級魔導士の新しいスキルも習得出来た。大きい収穫だ。



「「ナギ―!!」」


「!」



ノノとマイルが駆け寄ってくる。



「コノヤロー!!そんなとんでもない事隠してやがってー!!」


「Sランクっ…幻級!…ナギが、8人目!?」



二人にバンバンと背中を叩かれる。…地味に痛い。



「落ち着け落ち着け!…Sランクといっても、このジョブの強さは入手した魔石に依存する。戦闘中に自在にスタイルを切り替えられるのは強みだけど、今使えるジョブはどれも“下級”の剣士と魔導士、神官だけ…もっと魔石を集めないとなー」


「手伝うぜ!」


「もち…のろん」



二人がニッと笑う。俺もつられて笑い、ありがとう、と返した。



「あーっ!!!!」



急に大声を上げるマイル。



「なんだよ、急に」


「ナギがSランクで、ノノがAランク?…オレが一番低いじゃねぇかぁー!!!」


「…SランクとAランクの俺達がいれば大丈夫さ。しっかり守ってやるから、大船に乗ったつもりでいろよ、マイル君っ」


「く…くっそー!!」



一人悔しがるマイルを見て、俺とノノは笑った。

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