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ズシン―――


「!」


「なんだ!?」



不意に響いた大きな足音。地を揺らしながらそれはこちらに近づいてくる。…来たか、お目当ての獲物が。


音のする方に俺達は目を向ける。人の背丈の倍はあるだろう巨体を揺らしながらそいつは現れた。



「あ、あれは…」



――――――――――――――――

      オーガ Lv23

  HP  930/930

 弱点属性: 火 氷

 攻撃:打突 斬撃(爪) 噛みつき

 魔法: なし

――――――――――――――――



アリシアさんから聞いた情報の一つ。夜にこの平原でゴブリンを狩っていると、その親玉のオーガが出現することがあり、俺達ぐらいのレベルの時には、レベル上げするのに丁度良い相手なんだとか。早速出会えたのはツイてたな。


見た目はでっかいゴブリンだな。鋭い牙が並んだ口を開き、涎をダラダラとたらしながら近づいてくる。ノノとマイルが戦闘態勢に…。



「待ってくれ、二人とも」


「「?…」」


「ちょうどいい機会だから、アイツは俺に任せて、二人はそこで見ててくれ…これが俺のジョブの性能だ。【異能転化オーバーライト】!」



俺は下級剣士にする。俺は光に包まれ、黒羽の剣が装備される。



「おぉ!」



マイルの感嘆の声を尻目に、俺はオーガへと切り込んでいく。…行くぞ!



二重斬ダブルスラッシュ】!!



俺は跳び上がり、スキルを発動。オーガの胸に二連撃を叩きこむ。



「ガアッ!!」


オーガは持っていた大きなこん棒を上から叩きつけてくる。俺はオーガの顔を踏みつけ更に跳躍。こん棒の攻撃を躱す。


レベルが上がり、ステータスの数値が上がるほどに身体能力も向上してるな…現実世界じゃ絶対こんな高さまでジャンプできないよな…。



「…【剣撃強化ソード・レイズ】」



空中でスキルを発動。黒羽の剣の刀身が赤い光を帯びる。



「はあああぁぁぁ!!」


俺は落下の勢いを乗せて、オーガを斬り付ける!!



「グガァッ!!」



オーガが苦悶の表情を見せる。だが、オーガは俺の着地の隙を見逃さず、こん棒を振り払ってきた!



「うっ!!」



俺は剣を盾に直撃は避けたが、大きく吹き飛ばされてしまう。



「つっ!…」



身体に鈍い痛みが走り、HPが少し削れてしまう。ガードしたのにダメージを受けた…パワーは見掛け倒しじゃなさそうだ。



「だいぶ飛ばされたな…」



吹き飛ばされた俺とオーガの間には結構な距離が開いていた。この距離なら、だな…



「【異能転化オーバーライト】…」



俺の体が光に包まれる。

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