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「でも…やっぱり気に入ったよ!アンタ達!!どう!?私達と一緒に戦ってくれない?」


「……」



あの後もアリシアさんは色々なことを俺達に教えてくれた。そしてアリシアさんの不意の勧誘に、俺達は顔を見合わせる。



「…すみません。革命のロザリオの思想には共感出来ます。でも、今は俺達は俺達のやり方でやってみようと思います」


「…そっか」



アリシアさんは微笑む。



「色々教えて頂いたのにすみません…」


「あはは!いいよー!フレンド登録できたし、アンタ達を気に入ったのは本当だしねー!」


「はい!何か俺達に出来ることがあったら、遠慮なく連絡してください!」


「アリシア姉さんの為なら、このマイル、どこからでも駆け付けます!」


「ノノも…右に同じ…ガザックは…いつか刻む。あの子も助ける…」



アリシアさんは俺達を見て、あはは、と笑う。



「うん!会えてよかったよ!アンタ達も何か困ったら遠慮なく言うんだよ?お姉さんが助けてあげるから!」


「心強いです」



アリシアさんはどこか満足げに酒を飲み干す。



「っていうことは、自分達のギルドを設立するのかな?」


「自分達の、ギルド…」


「そ!そこのカウンターで手続きできるよ。ギルドに登録しておけば、ここで依頼も受けられるようになるし、金銭的にも楽になるはずだよ?誰かがギルドの代表、ギルドマスターとしてギルドを設立するんだ。アンタ達は…」



ノノとマイルが俺を指差す。え…俺!?



「やっぱり君か、ナギ君」


「やっぱりって、俺Eランクですよ!?」


「ジョブのランクだけで人は計れないさ!私も君が適任だと思うよ?」



俺が、ギルドマスター?…“after school”の時はブレイン役はしていても、リーダー格として皆をまとめていたのは、ずっと九ノ原先輩だったし…良いのか?俺で?



「よし!そうと決まれば、早速ギルド設立しに行こー!!」


「おー!!行こう行こう!!」


「行くよっ…マスターナギ」


「え、ちょっと待っ…ていうかなんでノノとマイルまでそんなノリノリなんだよ!」



アリシアさん達に無理やりカウンターまで引っ張っていかれる。そんな急に言われても…



「…新人か?」



カウンターには白髪頭の丸眼鏡を掛けたおじいさんが座っていた。値踏みするように俺達を見てくる。歳は取っているが、その眼光は鋭さを感じる。



「あ…えっと…」


「新設ギルドの登録お願いいたしまーす!!」


「ギルドの設立か…登録料500Gギルだ」



アリシアさんが坦々と話を進めていく。俺の前にポップアップが出現し、登録料500Gと表示される。



「え…いや、ほんとに?」



ノノとマイルが頷いて返す。…まったく、強引な。



「…わかったよ」



俺は500G支払った。



「ギルド名はどうする?」


「え?ギルド名?…」



そんなもの、急すぎて考えてねぇよ…。after schoolは…使えないしなー。



「あー…えーっと……」


「…ギルド名は後からでも登録できるぞ。名前が決まるまでは登録番号で管理されるが、いいか?」



決めかねていた俺を見て、おじいさんが言った。あ、後からでもいいのか。



「あ、じゃあ…それで」


「はいよ…じゃあ、登録番号5182だ。名前が決まったらまた此処に来な」



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   ギルドを設立しました

   登録番号 5182〈仮〉

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