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「ノノ達の…ギルド…」


「おおー!上がるなー!!ま、名前はおいおい考えようぜ!」



嬉しそうなノノとマイル。アリシアさんも満足そうに頷いている。



「ツールボックスからギルドメンバーへの招待が送れるよ」



俺は言われた通り、ノノとマイルに招待メッセージを送る。


―――――――――――――――

  プレイヤー ノノ

  プレイヤー マイル

 ギルドに参入しました

―――――――――――――――



「依頼を受けたいときも、依頼完了の報告をする時もここに来ればいいよ!」


「はい、ありがとうございます」



俺達のギルドか…なんだかんだこういうのは嬉しいな。



「よし、じゃあ次は飛翔石盤を登録しておきな」


「飛翔石盤?」


「そ、飛翔石ってアイテムを使えばいつでもここに戻って来れるようになるんだよ。ワープってやつだね」



おぉ、そんな便利なものが…。アリシアさんに案内され、店内の隅に置いてある大きな石盤の前へと進む。



「触ってみな」



いわれた通り、俺達は石盤に触れる。


―――――――――――――――――

 クランツ王国 首都 クランツの

 飛翔石盤を登録しました


飛翔石でここへ飛ぶことが出来るように

なりました。

―――――――――――――――――



「飛翔石はそこのアイテムショップで一つ300Gで買えるよ。使い方は飛翔石を取り出して、ジャンプしたい街の名前を唱えればいい。飛翔石は一度使うと無くなっちゃうから、多めに買っておいた方がいいよ」



そういってアリシアさんが指差した先には、この世界の文字でアイテムショップと書かれたカウンターがあった。



「…ほんとに色々教えてもらって助かりました。アリシアさん」


「ありがとうございますっ!アリシア姉さん!」


「いいよいいよー…んー!!やっぱり君達、ウチのギルドに入ろうよー!!」


「「「え!?」」」


「おい!探したぞ!アリシア!!」



不意に響いた男の声。振り返ると二人の男女が立っていた。明るい茶髪で快活そうな顔、背中に槍を背負っている男。翡翠色の長い髪に清廉な顔立ち、蒼いローブを着ており杖を持った女性。アリシアさんの知り合いか?



「おぉーナリヤ!ミーナ!…どしたの?」


「どしたの?…じゃねーよ!団長がお呼びだ!行くぞ!!」


「ちゃんとメッセージ見てくださいよー、アリシアさん」



ナリヤ、ミーナと呼ばれた二人がアリシアさんの両脇から腕を掴む。



「え!?ちょっと待って!今期待の新人を…」


「うるせぇ!皆待ってるんだ!さっさと行くぞ!!」


「またお酒飲んでたんですか?早く行かないと私達まで怒られるんですからー」



ズルズルと引き摺られていくアリシアさん。



「悪かったなお前達。このバカにつき合わせちまって」


「あ、いえ…良くして頂いたので」


「そ、そうだよねぇナギ君!私迷惑かけてないよね?ね!?」


「無理な勧誘はいけませんよ、アリシアさん」


「ちょっと待ってぇ!!あの子達凄く良い子なんだってぇー!!ノノちゃーん!マイル君!ナギくーん!!…連絡してねー!!」



アリシアさん達は遠ざかっていき、店から出ていった。なんか…嵐のような人だったな。



「ところで…お前ら」


「!!?」



いつの間にか背後に立っていた丸眼鏡のおじいさん。



「飲み代は誰が払うんだ?」


「「「あ…」」」



俺は600G支払った。

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