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ビック・ワーカーの残りHP72…敵の死角からノノが既にスキル発動の態勢を取っている。俺が敵を引き付け、マイルが脇から態勢を崩す!



「やれ!ノノ!!」


「【人形舞踏ドール・ロール】!」



巨大な黒い蟻の姿をしたモンスター、ビック・ワーカーが消滅する。



「結構楽勝だったな!」


「ノノのミハエルが秀逸っ…」



休息を終え、再びダンジョン探索へと戻った俺達。次々に現れるモンスターとの戦闘を繰り返すたびに、自分達が着実に強くなっているのを実感できた。レベルも上がり、俺も新しいスキルをいくつか手にしたが、大きく変わったのは…



「お、また初めて見るモンスターだぞ」


「肉食イナゴ…HP820。火が弱点みたいだな」


「おし、ならマイル様にまかせんしゃいっ!」



パッシブスキル【識別】Lv2…思った以上に有用だったな。これまでは敵を注視してもHPバーに名前とレベルくらいしか表示されなかったが、このスキルのお陰でHPバーに数値が表記され、さらに敵の苦手な攻撃を知ることが出来るようになった。


戦闘中、HPを数値として認識することが出来るようになったのは俺にとっては有難い。敵に与えるダメージ量、味方が敵から受けたダメージをより正確に知ることが出来る。パーティ内で戦闘の指揮を取る俺は常に戦況を把握し、最善手を導き出す必要がある。


この識別スキル、俺にとっては必須スキルだな。もう少しスキルポイント使って識別スキルのレベルを上げてもいいかもしれない。



「うおらぁぁぁああ!くらえ【炎剣】!!…おわっ!避けられた―!!」


「マイル…ばっじょぶっ」






扉。


これまで以上に広い部屋…その奥に巨大な扉が聳え立っていた。幾何学模様が彫刻された石の扉。このダンジョンを探索し始めてどの位経っただろうか。多くのモンスターとの戦闘を切り抜けて、俺達はこの扉を発見した。



「これは…出口か?」


「ボス部屋かも…」



レベルは21まで上がり、HPも殆ど削れていない。仮にダンジョンボスがこの先にいたとして…今の状態ならイケるか?…



「…どうする?」


「進むしかない…気を抜くなよ」



俺は恐る恐る扉に手を当て、力を込める…



「…あり?」


「どうした?」



扉はびくともしない。更に力を込めるが扉はうんともすんとも…



「任せろ!!」



マイルが加わり二人で扉を押すが、やはり扉は開かない。



「…っだあぁぁぁ!ダメだ!!」


「何か開くための仕掛けがあるのかも」


「ナギっ…マイル…」



ノノの声に振り返ると、ノノは一点を見つめて硬直している。その視線の先を追うと…



「なんだ、あれ…」


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