15
ピコン
「お!リザルト来たー!」
電子音と共に俺達の前にそれぞれポップアップが表示される。
――――――――――――――――――
RESULT
レベルアップしました
Lv.1→Lv.3
スキルポイントを4獲得しました。
Drop
・13G ・ゴブリンの小角×1
――――――――――――――――――
おお、レベルが一気に2上がったな。ドロップアイテムでゴブリンの小角か…今のところ使い道はわからないが取っておくか。
「なにー!!13Gだとー!!?魚が買えないじゃないかー!!」
マイルが叫ぶ。三人のRESULT画面を確認したが、どうやらお金はパーティ内で均等に割られ、アイテムはそれぞれ確率でドロップする仕様のようだ。ノノが一番多くアイテムをドロップしてたから、倒した数も関係してくるのかな。
「おい、どうするナギぃ!これじゃあ魚食えないぞー!?」
「………」
まあ、魚はともかく
ゴブリン8体倒して一人13G。つまり合わせて39G。敵のレベルで変動はするのだろうが、ゴブリン1体あたり5Gにも満たないってことか。焼き魚が60Gなのを考えると、このゲームの金銭事情は割とシビアなのかも…
「ナギっ…ノノは…空腹…さかな!」
「……」
…魚はともかく、効率よく稼ぐ方法だったり、金の使い方は注意していかないとこの先困ることになるかもしれないな。
「「ナーギー!!さかなー!!」」
「だー!わかったわかった!!とりあえず60G稼いで一旦戻るぞ!」
「「うーらじゃあぁ!」」
とりあえずこの二人に魚を食わせないと…うるさい。
俺達は再び魔物を探し歩き始める。そしてその標的はすぐに見つかった。
「お、あれ!」
マイルが指さす先から何かがこちらに向かってくる。大きな犬のような…
俺はそれを注視してステータスを確認する。
「…平原オオカミ、レベル5が三体…来るぞ」
「俺達の敵ではない!」
「魚の為…討つっ」
俺達は臨戦態勢に入った。
◆
「そっち行ったぞ!ナギ!」
「了解!」
俺は正面から飛び掛かってきた二頭の平原オオカミを切り裂いた。オオカミ二頭は消滅し、リザルト画面が表示される。
「お疲れーい!」
「ナギ、ぐっじょぶっ」
「うん、ありがとう!…だいぶ狩ったし、そろそろ戻るか?」
あれから俺達はしばらく草原を散策しながら狩りを繰り返した。ゴブリンと平原オオカミを合わせて20体以上は狩っただろう、全員レベルが8まで上がり、なんだかんだで所持金は100Gを超えていた。だいぶ街からも離れてしまったし、そろそろ潮時だろう。
「おう!腹減って死にそうだー!!」
「よし、じゃあ戻るか」
俺は剣を背中の鞘に納め、手の甲で汗を拭う。ん?…汗?
この世界でも汗をかくのか。空腹を感じたり、発汗したり、息も上がる。本当にゲームの中なのか疑うほどのリアルさだな。ゲームの快適さを求めるなら、汗なんてかかない設定の方がよさそうだが…リアルを追求したということだろうか。
「ナギ、マイル…これ見て」
ノノが少し離れたところでしゃがみこんでいる。ノノの目の前には直径3m程の大きな穴が。
「なんだこりゃ?」
覗き込んでみると相当深いのか、底は見えない。ふと周囲に目を向けると、同じような穴が複数点在している。いくつかの穴を見て回るが、どれも深く、底は見えない。
「んー…あんまり良い予感はしないな」
「だな」
「ゲームだとこういう穴って大体何かの罠か、でっかい蛇とか巨大な芋虫みたいなモンスターが出てきたりするよなー…あはは……」
マイルの表情が強張る。それもそのはず、辺りが急に薄暗くなった…いや、何かの”影”が俺達を覆ったのだ。
「いやーほんと、嫌な予感しかしないなー…」
俺達三人は恐る恐る後ろを振り返る。
―――――――――――――――
ギガントワーム Lv23
―――――――――――――――
それはまさしく、巨大な芋虫の様な姿。目や鼻などはなく、大きな口があるだけ。その口には螺旋状に並んだ無数の牙…
「あ、詰んだ」
「ギシャアアアァァァァ」
「「ぎゃああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」」
巨大芋虫もとい、ギガントワームが大きな口を開けて襲いかかる!
俺達は反射的に後ろに跳び退きそれを回避する!…が
「「あ」」
俺達の声が重なる。後ろに跳んで回避したのはいいが、その先には――――――穴。
「「うわあああああぁぁぁぁああああぁああ!!!」」
俺達は暗闇へ続く深い穴へと落ちていった。
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