初戦闘

13



敵は四体…。レベルの低い相手とはいえ、初めての戦闘だ。ここは慎重に…



「よし、とりあえず全員の戦闘スタイルとスキルを確認した…い!?」


「どらぁああぁぁあああああ!!焼き魚よこせええぇぇぇ!!」


「ノノ…空腹…お前ら…狩るっ!」



いつの間にか岩陰から飛び出し、勢いよくゴブリン達に向かって突っ込んでいくマイルとノノ。



「人の話聞けよおおぉぉ!!」



慌てて二人の後を追う。ゴブリン達もこちらに気付き、臨戦態勢を取る。



「ギギイィィ!」



耳障りな鳴き声を発し、ゴブリン達が石を投げつけてきた!



「がっ!」

「うっ!」



全速力で走っていたノノとマイルは避けきれず、石が直撃する!

衝撃を受け、バタリと倒れる二人。



「ノノ!マイル!」



二人の前に飛び出し、ゴブリンが追撃で投げてきた槍を剣で打ち払う。二人を注視し、HPバーを確認すると、わずかだが削られている。



「おい!大丈夫か?」


「あ…ああ、大丈夫、ちょっとびっくりしたけど」



二人は体を起こす。まったく…焦って飛び出すからだ。



「良かった、無事だな…こっからは連携組んで戦うぞ!」



さてさてどうするか、奇襲は失敗、数も向こうが多い。


俺は”一応”下級剣士だ、接近戦主体のタイプ…

マイルも…見るからにゴリゴリの近接型だな…

あとはノノだが、人形術師…未知数だ。遠距離攻撃できるような戦闘スタイルだとパーティ的に安定するんだけどな…



「許…さん」


「え?」



背後から殺気を感じる。振り返るとノノとマイルが般若のような形相で睨みを利かせながら立ち上がる。ああ…こいつら、話聞いてねーわ、これ。



「ゴブリンごときがあぁあぁぁぁぁぁぁあああ!!!!」


「食料の分際でええぇぇぇ!!!」



や、ゴブリンは食材じゃないけどね?大丈夫?頭とか



「地獄に叩き落してくれるわ…」


「大丈夫…すぐに皆同じ場所に送ってあげる…」



…セリフだけ聞くなら、こいつらのほうがよっぽど魔物っぽい…というか魔王だな。


二人がゴブリン達にゆっくりと近づく。二人のドス黒い殺気に気圧されたのかゴブリン達は後ずさる。



「行くぞゴラァァァ!スキル【炎剣えんけん】…発動!!」


「!!」



マイルの持つ大剣の刀身が炎に包まれる。!…これがスキルか。




「おらあぁぁぁぁっ!!」



マイルが炎を灯した大剣でゴブリンを斬りつける!!



「ギギャアアァ!!」



斬られたゴブリンが青白い光に包まれたかと思うと、光の粒子となって霧散した。



「おー、一撃か…スゲーな、マイル」


「【硬質化アイアン】…」



ノノが小さく呟く。ノノの持つウサギのゾンビ?みたいな人形が金属のような光沢を持ち始め…というか、金属に…なった?


ノノは金属化したウサギの足を掴み…



「ふんっ!!!」


「ギャッ!!」



ゴブリンの真上から叩きつけた!!


殴られたゴブリンは地面に突っ伏してピクピクと片足を動かしたかと思うと、先ほどマイルが倒したゴブリン同様、光の粒子となって消えた。



「ふ…塵芥ちりあくため…」


「……」



怖いよ、ノノさん。ていうか…お前も近接なんかいっ!!!

なんだ、この前衛しかいないパーティは。



「「あー!スキッリした!!」」



マイルとノノの声が重なる。はいはい、そりゃ良かったですよ。

ま、敵は残り二体、心配するほどでもなかったな。このまま…




「ギギギガアアァアアァァァァァァァァアアアアアァァァアアァアア!!!!!」


「なっ!?」



突如、一体のゴブリンが耳を裂くような大声を張り上げる。



「な、なんだ!?…」



すると、どこからともなく4体のゴブリンが現れ駆け寄ってくるではないか。



「あ!コイツ、仲間呼びやがった!!」



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る