12
「おー、これが門か」
やっと追いついた…。二人は大きな門の前で立ち止まっていた。門の左右に門番が一人ずつ立っている。
この先からは魔物が出るってことか…。
「よし!行くぞ!」
マイルが勇んで門をくぐろうとする。
『新人案内のナビゲーションシステムです』
「!?」
不意に頭に響くように女性の声が聞こえる。どうやらマイルとノノにも聞こえているようだ。
『この先には魔物が出現します。魔物と遭遇すると戦闘になります。HPが0になると、所持金の何割かを失ってしまいます。又、残りのプレイ時間をプレイできなくなってしまうのでご注意ください。』
なるほど、デスペナルティってやつか。女性の声は続ける。
『パーティを組んで冒険をする際には、パーティ登録を忘れないようにしましょう。パーティ登録をしておけば、経験値や獲得金を分配できます。パーティ登録はツールボックスの”フレンドリスト”から行えます。それでは、冒険者の皆様に幸運があらんことを…』
女性の声が止む。
「おお、そんな機能があるのか!さっそくやっとこうぜ!」
「了解」
ノノがツールボックスを呼び出し、操作する。
「んー…と、こう…かな?」
俺とマイルの眼前にポップアップが表示される。
『ノノからパーティへ招待されました。お受けしますか? Yes / No』
迷わずYesを選択する。
「完了っ…ついでにフレンド登録もしておくっ」
こうして、俺達は初めてのパーティを結成し、初めての戦闘へと向かうのであった。
◇
どれくらい歩いただろうか。俺達は20分ほど草原を歩き続けている。そしてついに…
「!…ナギ、マイル!…あれ!」
ノノが指さす先に…
「あれって…あれだよな」
「うん、あれは…あれだな」
暗い緑色の肌、とんがった耳、イボのついた鷲鼻、ぎょろりとした大きな目、手には武骨なこん棒や槍…
RPGではお馴染みの…
「ゴブリン…だな」
まだ距離はあるが、ゲームでよく見たゴブリンそのものがそこにはいた。4体…いるな。
「こっちだ」
俺達は慎重に距離を詰め、近くにあった大きな岩の後ろに隠れる。岩の陰からゴブリンを注視する。
――――――――――――
ゴブリン Lv2
――――――――――――
うん、やっぱゴブリンだ。レベル2のゴブリンが3体、レベル5が1体か…
『ナビゲーションシステムです』
「お」
凛とした女性の声が頭に響く。また何かのインフォメーションがあるようだ。
『戦闘時のスキルの発動について解説致します。スキルの発動は基本的にAPかMP、もしくはその両方を消費します。これらの残量が発動するために必要となるポイントを下回っている場合、不発となり、効果を発揮しませんので、APとMPの残量にはご注意ください。尚、消費したAPとMPは時間経過と共に徐々に回復していきます。又、MPポーション等、一定量のポイントを回復するアイテムなどもございます』
ふむ…まあここまでは慣れ親しんだRPGと相違ないな。
『次に、スキルの一つ一つにはそれぞれクールタイムが設定されており、一度発動するとそのスキルはクールタイムを消化するまで再発動できませんのでご注意ください。たとえばクールタイムが30秒のスキルは発動後、30秒経過するまで再び行使することはできません』
なるほど、APやMPだけを気にするだけじゃダメってことか…
『そして、スキルの発動方法ですが…』
うん、ここが一番重要だ
『発動の意思を持って、使いたいスキル名を強く念じて頂ければ実行されます』
へー、簡単でいいな!
『スキルを上手く活用して、戦闘を有利に立ち回りましょう。冒険者の皆様に幸運があらんことを…』
脳内アナウンスが終了し、俺達は顔を見合わせる。
「よし…んじゃ、いっちょいくか!」
俺達はそれぞれ武器を手に取った。
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