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20分後
「「「………」」」
『WINNER 【after school】』
画面に表示される、勝者を示すメッセージ。
「…っだっはー!ぎりぎり勝ったああぁぁぁ!!」
「し…死にかけた…」
「ノノ…燃え尽きた…」
ふぅ…こんなにも、しかも一人相手に苦戦したのなんて初めてだ。俺は忘れていた呼吸を思い出したかのように息を吐いた。チートでステータスを上げているとはいえ、俺達6人を相手に20分以上戦い続けるなんて…
ピコン
「?」
メッセージの着信を知らせる電子音。送り主は先ほどまで戦っていた観測者からだった。
『お手合わせ、ありがとうございました。
皆様の力量を計らせていただくためとはいえ、不正プログラムを使用しての対戦、お詫び申し上げます。
さて、今回対戦を申し込ませていただきましたのは、【after school】の皆様六人にお願いしたいことがあり、実力を試させていただきました。
と言いますのも、私、実はこの〈ビギニングワールド〉の開発陣の者でして、
「うえ!?なんだこれ?この人ビギニングワールドの制作会社の人なの!?」
「いたずらか?…とりあえず最後まで読んでみるか」
俺たちはメッセージをスクロールして読み進めていく。
『お願いしたいことというのは、現在開発を進めている新作ゲームのモニターとして実際にプレイしていただきたいのです。勿論、ささやかながら報酬もご用意しております。
詳細は直接お話したいと思っております。
ご都合よろしければ、今週末の土曜日15時に下記住所までご足労頂けないでしょうか?お返事お待ちしております。』
その下に住所が記載されていた。その住所を検索すると…
「隣町のカフェだな…」
「新作のゲームモニターだってよ!面白そうじゃん!今週末の土曜って明後日だよな?行こうぜ!」
「でも、なんか怪しくないか?待ち合わせ場所もこんな都合よく近場を指定してきてるし…」
「んー…俺達動画サイトで住んでる町の情報は公開してるし、この人も俺達のプレイ動画見て頼もうと思ったんじゃねーの?」
ああ、そういえばそうだったな…でも、ゲームモニターの依頼でわざわざ対戦して実力を試す必要とかあるのか?
「まぁ、話だけでも聞いてみてもいいんじゃないか?ただのいたずらで、待ち合わせに相手が来なかったとしても、たまには皆で出かけるのもアリなんじゃないか?」
俺が思考していると九ノ原先輩が進言する。まぁ、それなら…
「さんせー!!私ちょうど買い物もしたかったしー!」
「いいね!なぁナギ行ってみよーぜ!」
「ノノも、興味あるっ…」
「良いと…思う。上手くすれば…動画のネタにも…なるかも」
皆賛成の意を示す。
「…わかりました。行きましょう」
「いえーい!それでこそafter schoolの作戦参謀!」
「マイルはしゃぎすぎ」
ま、この冴木って人には興味あるしな…いたずらだったとしても、乗ってみるのも一興…か。
「じゃ、返信するよ」
というわけで、この冴木という人物に会うこととなった。
これが俺達の今後を大きく左右するものになると、俺達はまだ知らない。
◇
同時刻 某所
「どうです?気に入りました、冴木さん?」
「うん…この子達なら、”あの世界”を大きく動かす存在になるかもしれないね」
「でしょう?僕も早く”先輩達”と”あっちの世界”で会いたいですよ」
「フフ、気が早いね…こちらの申し出を快く引き受けてくれればいいんだけどね」
「大丈夫ですよ。あの人達、極度のゲームジャンキーですし…難易度が高いほど燃える人達なんで」
「フフ…期待しておこう。このまま”奴等”にあの世界を好き勝手されるわけにはいかないからね」
「期待していいと思いますよ…特にあの二人には」
「そうだね、僕も久しぶりに期待で胸が膨らんでいるよ。うん、今後も手筈通りに頼むよ……”由衣”」
由衣 奏はいたずらっぽく微笑んでみせた。
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