2.自作を語る「覇王ベルシス・ロガ」について
この作品は、正直自分でどう評価するべきか長らく不明でした。長らくと言っても書き始めたのが今年の頭だから、一年と経っていない訳ですが。
非常に評価に困ると言うか、ある意味プロットをそのまま小説として発表したような、多くの物をそぎ落とした作品だからです。無論、ある程度は意図して行いましたが、それが妙にPVが伸びてしまいました。
一応第一部完と言う風に終わらせた訳ですが、三百人以上の方が作品をフォローしてくださり、今までの私の作品からは考えられない状態になりました。書いたものがそれだけ多くの人に読まれると言うのはうれしい物ですが、私は何処までこれを想定できただろうか、そぎ落とすにしてもどこまで意図的に行えただろうかとつい考えてしまいます。
一人称で歴史を語る事の難しさに躓き、事象を語る事の難しさに躓き、戦を語る難しさに身もだえした日々。教科書はガリア戦記といくつかの戦術書、それに学んできていた歴史の知識のみ。定めた宗教も、文化レベルの説明も、人種やその他の諸々もさほど語らずに始まったこの作品は、結局それらを語る間もなく、王と呼ばれるようになる青年将軍の主観と、戦に外交にと降って湧く問題を解決するために奔走する話を軽いタッチで書く事のみ腐心した作品です。
ツイッターのリツイートされた作品を読みますと言う企画に参加した際は、心を虚無にしないと読めないとまで言われた本作。私自身もそう言われるのも仕方ないかもなと思っていたのですが、どうも違った評価をくださる方々も多いようで、自身の考えが凝り固まっているのか、スナック感覚の作品が戦記と言うジャンルでも好まれているのか……。
迷った挙句数か月更新を停止した事すらありましたが、宙ぶらりんはまずい、ひとまず終わらせようと一念発起し、どうにか終わらせた本作。諸々を削って書きましたが、それは決して楽ではありませんでした。何より、書き直したいと言う衝動が何度も何度も襲ってきたことはまだ記憶に新しいです。
ですが、書き直すことはしませんでした。一度発表してしまった作品に大幅に手を加えるのは、作者の自己満足に過ぎないのではないかと思えたからです。作品をWEB上でとは言え発表した以上は、私の手を離れて読者の手に渡ったのだと覚悟を決め、リテイクの衝動を抑えて一応の最後まで書き終えました。
それが良かったのかどうか。リテイクした内容を新たに「隻眼のウォーロード」として書いていますが、それも良い事なのかどうか分かりません。ただただ、創作と言う物は難しいと感じるばかりです。
ただ、この「覇王ベルシス・ロガ」はリアルの友人には好評でした。適度の補給の話が出てきて無双するわけでもなく、主人公ベルシスよりはるかに優れた将軍カルーザスが敵としてあり続けた事で緊張感もあった。そして、戦争と外交で問題が矢継ぎ早に起きるので飽きが来ないと言うのです。
多分、この考えに似た評価の方が相応にいたから、今までで一番読まれ、星もついたのだろうと思います。内政や後継問題、幾つかの文化風俗を書かなかった事がテンポの良さに通じていたのだとしたら、今私が書いているリテイクは失敗作と言う事になりかねませんが。……それを裏付けるかのようにPVの勢いはリテイク前の「覇王ベルシス・ロガ」ほどではないのは事実です。
私が求める作家性なるもの、私自身の個性と言うか癖はいらない物なのかもしれないと感じ、結構ショックを受けました。ただ、確かに素人の個性とやら程うっとうしい物は無いかもしれないとも思えるのです。でも、書く以上はどうしても色と言う個性は出てしまいますからねぇ……。
一方で、読者がいわゆる読み専の方々が多かったことにも気付きました。感想はあまりなく、星は百以上あれどもレビューが二個と言う状態の「覇王ベルシス・ロガ」。ですが、第一話が1924PVに対して最も低い終盤付近の説明回で276PV。最終回とかはPV上がるので完走率は14%ほど。もう少し完走率は上げたいところですが、感想やレビューの数は色々と考えて気にならなくなりました。読んで貰えて楽しんでもらえることが何より。それを表すバロメーターはやはり完走率であろうと思うのです。娯楽の多い今の時代、時間をかけて読んでくださったと言う事実こそが、何よりの評価であると思うからです。
なんだか、作品の話と言うよりは今後の目標にすり替わてしまいましたが、今回は以上です。次回は転生について思っている事を書くか、冒頭800字の戦い「逆噴射小説大賞2020」について書こうと思います。
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