宮廷ネクロマンサー、アンデッド嫌いの聖女に追放される~「人間は裏切るから戻ってきて!」と土下座されるがもう遅い。吸血鬼の姫にめちゃくちゃ溺愛され、不死王と崇拝されてしまっているので~
王国に災害が起こる 聖女の後悔始まる※ざまぁ回
王国に災害が起こる 聖女の後悔始まる※ざまぁ回
「なんですって! 失敗したですって!」
王国ハルギニアの事である。ヴァンパイアハンターから報告を受けたアリシアは驚愕する。
「はい。申し訳ありません。何でも向こうにはアルカの姉であるヴァンパイアがいたらしく、アルカは向こうに寝返りました」
「ふ、ふざけるんじゃないわよ! あなた達プロでしょう! 逃げ帰ってきて!」
「命あっての物種です。死んだら何にもならないじゃないですか。勿論お代は前金だけで結構です」
「当たり前よ!」
「それでは報告は以上です。俺達は失礼します」
ヴァンパイアハンターの男達三人はその場を去った。
「きいいいいいいいいいい! ふざけるんじゃないわよ! このっ!」
アリシアは物に当たった。そこら辺のものを蹴る。
「い、いったああああああああああい! つま先が痛いわ!」
大変痛そうにしていた。自業自得だった。
「こんなはずじゃなかった! こんなはずじゃ! 全部思い通りにいっていたはずなのに! なんでこんな事に!」
アリシアは頭を悩ませる。そんな時だった。
「……な、なんですの! この揺れは」
地震だった。グラグラと大きな揺れが発生する。揺れはしばらくして治まったが、かなり長い事揺れていた。大きな地震だった。国家の運営をしていく上で当然のように様々なトラブルに見舞われる。天災もそのひとつだった。
「大変です! アリシア様!」
「なんですか? 騒々しい」
「先ほどの地震の影響で多くの建築物が倒壊しました。亀裂が入るなど半壊をしている建物も少なくありません」
「大臣を集めなさい。会議を開くわ」
「はい!」
こうしてアリシアは6人の大臣を呼びつけ、円卓で会議をする事となった。
「先ほど起こった災害の対応よ。一体どうすればいいの?」
「人員を起用し復旧作業をするしかありません。ですが当然のように金がかかります」
「どれくらいかかるの?」
「人員一人につき一日銀貨1枚だとして。1万人雇えば1日銀貨1万枚でございます」
貨幣価値は大体銅貨10枚で銀貨1枚、銀貨10枚で金貨1枚といった感じだ。つまりは1日で金貨100枚分の資金を消費する事となる。
「復旧までにかかる日数は?」
「大体100日の見通しです。当然状況によって進み具合は変わります。より多くの工期を必要とするやもしれませぬ」
「そう……」
多大な出費だと理解した。当然のように全ては血税である。アリシアのものではない。しかし強欲なアリシアは自分の金を失うかのように心を痛めていた。
「ジル様のアンデッドがいれば、無給の上無休で働いてくれました。工期を大幅に短縮する事ができ、経費も安く抑えられた事でしょう」
「な、何よ! 私が悪いっていうの? あんな薄気味悪いアンデッド使いなんていなくなってせいせいしたわ!」
アリシアは大臣に怒鳴る。
「何をおっしゃいますか? アリシア様。ジル様は国王暗殺の罪から逃亡されていったのですよ。別にアリシア様の責任など追求してはおりません」
「こっ、こほん! そ、そうね。ごめんなさい。何でも無いわ。ともかく、あのネクロマンサーがいないのだから仕方ないわ。人を集めて復旧に当たらせなさい」
「了解であります。自国の人手では足りないかもしれません。割高ですが他国に人手を要請するかもしれませぬ。専門の建築技術を持った職人は貴重でありますが故」
「そうね……仕方ないわね」
アリシアは溜息を吐いた。アリシアはジルの別れ際の言葉を思い出す。確かにアンデッドの利点は否定できる要素ではなかった。
その後、アリシアのもとへさらなるトラブルが襲いかかってくる事になる。
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